2006 Fiscal Year Annual Research Report
強相関系酸化物ナノ構造による室温動作スピントロニクスデバイスの創製
Project/Area Number |
05J09293
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐藤 一成 大阪大学, 産業科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | スピントロニクス / 強相関系酸化物 / トンネル磁気抵抗効果 / ナノ構造 / レーザー分子線エピタキシー |
Research Abstract |
次世代の電界効果型不揮発性磁気メモリを実現するために、Fe_<2.5>Mn_<0.5>O_4/Nb:SrTiO_3ショットキーバリアダイオードの作製と評価をおこなった。低キャリア濃度、高耐酸化性等優れた物性を有するFe_<2.5>Mn_<0.5>O_4(FMO)を用いた接合を作製し、強磁性半導体FMO/金属界面の結晶学的、電気的・磁気的特性、および分光評価をおこなった。レーザー分子線エピタキシー(MBE)法により、FMO薄膜をSrTiO_3(STO)(001)、Nb:SrTiO_3(NbSTO)(001)、およびX線回折評価のためAl_2O_3(AlO)(001)基板上にそれぞれ成長させた。STOは高誘電体であるため、例えばこれをゲート絶縁膜として用いた場合、非常に大きな変調効果が期待できる。また、Nbをドープすることで導電性を得る。FMO/NbSTO界面で良好なショットキー障壁を形成することを電流電圧特性から確認した。また、AlO(001)基板上においては、FMOは(111)面で成長するため、(強)誘電体層等と組み合わせる場合に異なる配向性を制御できる。 FMO薄膜は異常ホール測定において、極薄膜10nmにおいてもキャリアのスピン偏極を示し、これはFMOの特長である。STO上FMOは結晶性が悪く晶系を特定するに至らなかったが、その電気特性、磁気特性は格子整合性の良いMgO上のものと比較して極端に悪化しておらず、基板情報とほぼ無関係に成長しているものと思われる。 また、硬X線光電子分光により、Fe_<3-x>Mn_xO_4/Nb:SrTiO_3界面の電子構造評価において、Nb(0.1wt.%):SrTiO_3側のSr2pスペクトルにおいて、脱出角度(TOA)89degから30degまで測定したところ、単調なスペクトルピークシフトが観測され、ショットキー界面近傍の静電ポテンシャルの変化を反映した結果が得られた。さらに、フェルミレベル付近の価電子帯の状態密度はMn置換量が増加するにつれて減少し、それとともにスペクトルは高エネルギー側にシフトしていることがわかった。x=1.0においてはクーロンギャップが形成されていることがわかった。これにより、実効的なショットキー障壁高さをMn置換量により直接的に制御できる。今回Fe_<2.5>Mn_<0.5>O_4/Nb:SrTiO_3構造において得られた知見は、強相関電子系酸化物界面の電子状態評価やヘテロ構造デバイス作製に重要である。
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