2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J09339
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
中川 れい子 The Institute of Physical and Chemical Research, 幹細胞研究グループ, 専門職研究員
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Keywords | シグナル制御 |
Research Abstract |
サイトカインやホルモンによるシグナル伝達は成体における免疫応答反応の制御に重要であり、そのシグナル伝達経路は様々なメカニズムによってポジティブにもネガティブにもコントロールされている。近年、このサイトカインによるシグナル制御は胎児期における免疫関連組織の形態形成にも重要であることが報告されている。これまでに、二次リンパ組織であるパイエル板の胎児期の形成過程には、腸管内のパイエル板原基に存在するインデューサー細胞とオーガナイザー細胞の間でやり取りされるリンフォトキシンシグナルが重要な役割を果たしていることが知られている。新生児期にはこのパイエル板原基に成熟リンパ球が動員されることで、完全な高次構造が構築される。リンフォトキシンは成熟リンパ球表面にも発現していることから、研究代表者は新生児期の高次構造構築過程においてもこのサイトカインのシグナルが関与する可能性に注目し、その詳細の検討を行った。その結果、出生後にリンフォトキシンシグナル阻害剤を投与することでパイエル板の正常な高次構造が形成されないことが明らかとなった。パイエル板阻害剤は、出生後におけるインデューサー細胞の機能的分化を阻害しており、その結果新生児マウスのパイエル板組織の形成がおこらなかったと考えられる。これまでインデューサー細胞およびリンフォトキシンシグナルは、胎児期のリンパ組織形成における重要性が知られていたが、今回の解析からインデューサー細胞および因子が出生後の組織構築にも関わる可能性が示された点は新規の発見であり、正常な免疫組織の構築過程を知る上で意義深い成果であると考えられる。
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