2006 Fiscal Year Annual Research Report
非アポトーシス型細胞死変異株の分離とその分子機構の解析
Project/Area Number |
05J09346
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
遊佐 宏介 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | アポトーシス / オートファジー / ブルーム症候群 / Bak / Bax |
Research Abstract |
プロブラム細胞死は、個体の形態形成や恒常性維持に必須の機能である。ミトコンドリアにおいけるアポトーシス促進因子Bax, Bak二重変異マウスの解析においてp53依存性のアポトーシスが阻止されることが報告されていたが、当研究室での詳細な解析の結果、実際にはオートファジー様細胞死が誘導されていることが見いだされた。オートファジーの分子機構の解析は出芽酵母変異体の解析により、大きな進展を見せた。最近になって、オートファジーに必須に遺伝子のマウスホモログを欠損させたノックアウトマウスが作製され、出産直後の一過的な栄養飢餓状態を乗り切るために必須であることが示された。また、コンディショナルノックアウトマウスの解析から神経変性疾患との関連が解析された。このように、オートファジーはほ乳類においても必須の現象であり、また種々の疾患との関連も示唆されている重要な生命現象である。しかし、そのほ乳類での分子機構は未知の部分が大きい。本研究では、Bax, Bak二重変異と両アレル変異を導入できるBloomシステム(nature,429:896)とを組み合わせ、オートファジー様細胞死変異株を分離し、関連遺伝子のスクリーニングを行うことを目的としている。 昨年度において、Bloomシステムを導入したES細胞へBak遺伝子のホモ欠損を導入した。今年度は、Bax遺伝子の欠損の導入を目指した。Bax遺伝子座へのジーンターゲッティングは、通常のジーンターゲッティング効率に比べて、格段に低く、複数回のターゲッティング操作を行う必要があった。また、ヘテロ欠損株樹立後、同じターゲッティングベクターを用いてもう片方の遺伝子座へのターゲッティングを行ったが、正しくターゲッティングされた株を樹立することができなかった。これは、Bloomシステムを導入した.ES細胞は、マウス129系統の中の亜系統問のF1交配より樹立されており、過去に調べられ、現在公開されているSSLP等の多型マーカーを調べてみるとBax遺伝子座近傍の約30Mbにおいて特に多型が集中していることが、ターゲッティングへ悪影響を与えていると考え得られた。実際ターゲッティングベクターに用いた部分の配列を調べてみると通常マウスの異なる系統でも数kbに1つといわれている一塩基多型がターゲッティングアーム9.3kb内に13箇所存在した。129系統の亜系統間でこれほどの頻度で一塩基多型が存在することは、ターゲッティングベクター構築に際して、注意を要することが示めされた。現在、ターゲッティングベクターを129亜系統ゲノムのもので再構築を行い、再度ジーンターゲッティングを進めている段階である。
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