2007 Fiscal Year Annual Research Report
非アポトーシス型細胞死変異株の分離とその分子機構の解析
Project/Area Number |
05J09346
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
遊佐 宏介 Osaka University, 医学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | アポトーシス / オートファジー / ブルーム症侯群 / Bak / Bax |
Research Abstract |
プロブラム細胞死は、個体の形態形成や恒常性維持に必須の機能である。ミトコンドリアにおけるアポトーシス促進因子Bax,Bak二重変異マウスの解析においてp53依存性のアポトーシスが阻止されることが報告されていたが、当研究室での詳細な解析の結果、実際にはオートファジー様細胞死が誘導されていることが見いだされた。オートファジーの分子機構の解析は出芽酵母変異体の解析により、大きな進展を見せた。近年マウスを用いた解析が進み、オートファジーはほ乳類においても必須であり、様々な生命現象や疾患と関連する証拠が示されている。例えば、神経変性疾患や心臓疾患との関連が示されており、細胞が細菌に感染した後オートファジーを誘導し細菌の増殖を抑えようとすることや、さらに老化との関連性も指摘されている。一方、オートファジーのほ乳類での分子機構は未知の部分が大きい。本研究では、Bax,Bak二重変異と両アレル変異を導入できるBloomシステム(nature,429:896)とを組み合わせ、オートファジー様細胞死変異株を分離し、関連遺伝子のスクリーニングを行うことを目的とした。 前年度までに作製したBloom-Bak KO ES細胞へ、更にBax変異を導入した。前年度、Bax遺伝子座には多数の一塩基変異があることがわかったので、ターゲッティングベクターをC57B16Jと129SvJゲノムを用いて二種類構築した。ジーンターゲッティングの結果、Baxホモ欠損ES細胞を得る事ができた。Bak,Bax二重変異マウスが生存可能であるように二重変異ES細胞も正常に増殖する。すでに、変異導入するためのレトロウイルスは作製しているので、今後二重変異細胞において効率のいいオートファジー様細胞死誘導数系を構築する必要が有る。 また、今年度、Bloomシステムの有効性を更に示すため、作製した変異導入レトロウイルスを用いて、ES細胞の未分化性に関するスクリーニングを行った。現在までに、ホモ欠損で未分化維持機構に関連すると思われる候補遺伝子を得た。これは、Bloomシステムを用いない場合には分離できなかったので、Bloomシステムが遺伝子探索ツールとして有効である事を示していると考えられる。
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