2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J09356
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山口 暢也 大阪大学, 歯学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 抗腫瘍免疫 / B7-Ig / STAT6 / IL-4 / Tc2 |
Research Abstract |
以前までの研究においてB7-Ig治療による抗腫瘍効果にはタイプ2CD8陽性T細胞が関与していることを示唆してきた。そのさらなるメカニズムの解析を行なっているが、まず、B7-Ig治療における免疫担当細胞のシグナル伝達についての検討を加えた。T細胞のタイプ1/タイプ2分化に関与する転写因子であるSTAT4/STAT6の関与を調べるためにSTAT4欠損マウスおよびSTAT6欠損マウスを用いてB7-Ig治療による抗腫瘍効果を検討した結果、STAT4欠損マウスでは野生型マウスと同様の治療効果が得られたのに対し、STAT6欠損マウスでは腫瘍退縮は認められなかった。次に実際に担癌マウスにB7-Ig治療を施したマウスの腫瘍局所に近い所属リンパ節よりT細胞を単離し、インターロイキン4(IL-4)およびインターフェロンγ(IFN-γ)の細胞内染色を行ないフローサイトメトリーにて検討した結果、治療群・無治療群においてIFN-γ産生には変化が見られなかったものの、IL-4産生では無治療群に比してB7-Ig治療群では有意に上昇していた。以上のことよりB7-Ig治療ではSTAT6を介するシグナル伝達経路が重要な役割を果たしており、また、腫瘍局所においてタイプ2に分化したT細胞が存在していることが示された。また、腫瘍局所ではH-E染色にてB7-Ig治療によって特徴的な壊死層が形成される。しかし、この際腫瘍局所に有意なリンパ球の増加は認められない。今後はそのリンパ球の作用機序およびB7-Ig治療に特徴的である壊死層の形成機序について解析を進めるが、現在口腔外科領域にて議論されているBisphosphonateによる顎骨骨壊死(ONJ)もリンパ球の増加を示さない炎症性疾患であり、またBisphosphonateがいくつかの腫瘍に対して抗腫瘍効果を有することから、このメカニズムとの関連も明らかにしていく
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