2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J09364
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松岡 里実 大阪大学, 生命機能系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 走化性 / 細胞極性 / 脂質 / 1分子イメージング |
Research Abstract |
私はこれまでに、走化性情報伝達反応が細胞膜の状態に依存していることを示す結果を得てきた。すなわち、細胞外の走化性物質cAMPの濃度勾配を受容してから情報伝達タンパク質を局在化させるまでに至る一連の情報処理は、細胞膜リン脂質の脂肪酸組成が異常な細胞では正しく起こらないことを発見した。細胞膜の物性の違いによって影響を受けうるものとして、情報伝達分子自身の構造や活性、分子間の情報伝達の反応速度、あるいは情報分子の膜上での側方拡散による情報の伝播などが挙げられる。そこで、この細胞を用いて、これらのパラメータを操作することで情報伝達め入出力関係がどのように変化するかを明らかにし、細胞極性形成の情報伝達反応の本質を理解したいと考えた。反応の出力のマーカーとして、細胞外cAMP濃度の高い側で細胞膜に局在するタンパク質CracにGFPを融合したものを用い、これを発現させた細胞の横にcAMPを放出するガラスマイクロピペットを設置することで細胞に濃度勾配刺激(入力情報)を与え、Crac-GFPの局在を観察した。その結果、野生型でCrac-GFPはcAMPピペットのある側のみに局在化するのに対し、脂質組成異常細胞ではその局在部位はcAMPの濃度勾配に全く依存せずランダムになり、局在部位の大きさも一定ではなかった。また、時間を追って局在部位が移動したり、局在範囲が拡大したりする様子が観察された。このように出力情報は不安定なものであり、入力を詳細に制御できる系で調べる必要があると考えた。そこで、細胞の左半分と右半分で異なる任意の濃度のcAMPを与える実験系を考え、このためにマイクロ流体チャンバーを作製しているところである。また、情報伝達分子CracおよびPTENの細胞膜上での挙動について、野生型細胞での解析を終え、その結果を3報の論文にまとめた。2報は既に発表済みである。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Single-molecule analysis of chemoattractant-stimulated membrane recruitment of a PH-domain-containing protein2006
Author(s)
Matsuoka, S., Iijima, M., Watanabe, T.M., Kuwayama, H., Yanagida, T., Devreotes, P.N., Ueda, M.
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Journal Title
Journal of Cell Science 119
Pages: 1071-1079
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[Journal Article] Tumor suppressor PTEN acts through dynamic interaction with the plasma membrane2006
Author(s)
Vazquez, F., Matsuoka, S., Sellers, W., Yanagida, T., Ueda, M., Devreotes, P.N.
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Journal Title
PNAS 103(10)
Pages: 3633-3638