2006 Fiscal Year Annual Research Report
組換えVSVを用いたC型肝炎ウイルスの感染機構の解明
Project/Area Number |
05J09374
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
谷 英樹 大阪大学, 微生物病研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | C型肝炎ウイルス(HCV) / シュードタイプウイルス / VSV / CD81 / 組換えウイルス |
Research Abstract |
近年、特定のクローン(JFH-1株)を用いたC型肝炎ウイルス(HCV)の増殖系が確立されたものの、未だHCVの感染機構の詳細は明らかにされていない。昨年度、我々は、HCVエンベロープ蛋白質を被ったシュードタイプ水庖性口内炎ウイルス(HCVpv)を作製し、その感染機構の解析を進めてきた。このウイルスはゲノムにエンベロープ遺伝子を持たないため、一度しか感染できず、二次感染は起こらない。今年度はVSVのエンベロープ遺伝子を欠損させ、代わりにHCVのエンベロープ遺伝子を組み込んだ組換えVSV(HCVrv)を作製し、その感染様式を解析した。 まず、1a型H77株および1b型Con1株のHCVエンベロープ遺伝子を、VSVのエンベロープ遺伝子を欠損させたVSVのcDNAに挿入し、HCVrvを各種動物細胞で作製した。HCVrvの性状ならびに、感染様式をHCVpvおよびJFH-1株と比較した。 その結果、HCVrvはHCVpvと同様に、293TやHuh7細胞で作製すると感染性を示すウイルスが得られ、これらのウイルスはHuh7細胞に最も高い感染性を示した。HCVrvの作製は37℃よりも、30℃で培養した方が高い感染価のウイルスが得られた。また、293TやHuh7細胞で作製したHCVrvは、HCVpvと同様に、抗hCD81抗体やC型肝炎患者血清で中和された。さらには、Huh7細胞でのみ、HCVrvの感染の拡大が観察された。 今回作製した組換えVSVは、これまでのシュードタイプウイルスやJFH-1ウイルスと同様に、hCD81依存的な感染性を示した。また、一部のHuh7細胞株では、HCVrvによって発現されたHCVエンベロープ蛋白質を利用して、感染を拡大していることが確認された。自立増殖可能な組換えVSVを用いることにより、各種遺伝子型のHCVの感染機構を詳細に解析することが可能になるものと思われる。
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[Journal Article] Oligomerization of Hepatitis C virus protein is crucial for interaction with the cytoplasmic domain of E1 envelope protein.2006
Author(s)
K.Nakai, T.Okamoto, T.Kimura-Someya, K.Ishii, C.-K.Lim, H.Tani, E.Matsuo, T.Abe, Y.Mori, T.Suzuki, T.Miaymura, J.H.Nunberg, K.Moriishi, Y.Matsuura
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Journal Title
Journal of Virology 80
Pages: 11265-73
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