2005 Fiscal Year Annual Research Report
科学理論の意味論的概念による科学哲学の諸問題の考察
Project/Area Number |
05J09398
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森田 邦久 大阪大学, 大学院・文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 科学的説明 |
Research Abstract |
「科学的説明とは何か」という研究課題に関して,5月29日に京都大学コロキウムで,6月18日に科学基礎論学会で発表した.そこでの討論をもとに論文を仕上げ,現在『科学基礎論研究』という学術雑誌に投稿中である.この研究では,従来受け容れられてきた因果過程による説明理論や統合化による説明理論の難点を指摘した.特に焦点を当てたのは,これらの理論では「記述」と「説明」の違いが理解できないことである.この難点を克服する新たな説明理論である「現象の本質を示すことによる説明」を提案した.この理論では「科学理論の意味論的捉え方:SC」と呼ばれる考え方が用いられている.さらに,これまでの研究から科学的言明というのは必ずも真理を言い表しているわけではないと言うことを指摘し,一般に流布している「科学信仰」による弊害(疑似科学的言明よるものも含む)を警告し,科学者が社会に影響を与えるような科学的発言をする際にはどのような点に留意すべきかを議論した論文を大阪大学文学会発行の『待兼山論叢』に投稿した)「科学者の誠実さとはなにか」).8月25日に北大夏のセミナーにて,「科学理論の意味論的捉え方による実験の分析」という題目で発表した.ここでは,従来のSCの研究では理論分析が中心であったが,実験もまたSCをもちいることによってその特徴が明らかになることを議論した.この際,ハッキングのいう「現象の創造」という考え方が重要になることを指摘した.
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Research Products
(1 results)