2006 Fiscal Year Annual Research Report
身体文化の多元的消費-インド・ケーララ州のテイヤム儀礼に関する舞踊人類学的研究
Project/Area Number |
05J09409
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
竹村 嘉晃 大阪大学, 人間科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | インド・ケーララ州 / 儀礼パフォーマンス / テイヤム / 神霊 / 多元的表象 / マルチメデイア / 舞踊・芸能研究 / 文化人類学 |
Research Abstract |
本研究は、同時代世界における伝統的な身体文化の位相に関して、インド・ケーララ州北部の儀礼パフォーマンスのテイヤム(神霊)をその分析対象とし、ローカルで伝統的な身体文化が観光産業や大衆消費社会、政治的文脈や移民社会、マルチメディアといった現代的事象との出会いと接合の中でいかなる様相を呈しているのか、その実態を多角的に解明することを目的としている。 本研究の研究代表者は、平成17年度より引き続き、インド・ケーララ州のカンヌール大学人類学科に訪問研究員として所属し、参与観察とインタビューを中心とした現地調査に従事した。滞在期間中は、近年、その信仰が著しく隆盛しているムッタパン神(テイヤムの一種)を祀った寺院近くに間借りし、同地域の人々と寺院との関わりを考察した。また、カンヌール地区周辺にあるその他のムッタッパン寺院に関しても、儀礼スケジュールや寺院運営の実態を観察・インタビュー調査した。 今日、マルチメディア技術の発展により、テイヤムは、儀礼の映像化に加え、宣伝看板・商品広告などに流用されている。こうした実態について、インターネット上のテイヤム表象の検証にくわえ、儀礼のちらし・看板のデザインを手がけるマルチメディア・ショップへの聞き取り調査を行った。さらに、イベントや舞台公演など儀礼以外の文脈に出演したテイヤム実践者へのインタビュー調査を行い、儀礼とステージに関する実践の相違、報酬、主催者との関係性等を探った。 本研究は、現代社会における神霊と人々との繋がりについて、神霊の表象という観点に着目し、その多種多様な実態を検証した。また、グローバル・ネットワークとのつながりや、儀礼以外の文脈におけるテイヤムの実践に関して、実践者の視点に依拠した考察を試みた。こうした成果の一部をまとめ、雑誌『民族藝術』や大阪大学21世紀COEプログラム『トランスナショナリティ研究』報告書に投稿した。
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Research Products
(2 results)