2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J09445
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
関田 静香 大阪大学, 経済学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | マル優制度 / 家計の資産選択行動 / 預金者規律 / 預金保険制度 |
Research Abstract |
1、家計の資産選択行動とマル優制度改革 1988年・2006年のマル優制度改革が家計の資産選択行動に与える影響を、収益率の内生性を考慮したthree-stage least squaresにより分析した結果、予想通り、両改革は家計の資産構成をマル優制度対象資産(預貯金等)から非マル優制度対象資産(株式等)へとシフトさせたが、短期的にも長期的にも、1988年の改革よりも2006年の改革の効果はより小さく、また、絶対的にも極めて限定的な効果であることが示された。 2、預金者規律と預金保険制度改革 1998-2003年における預金者規律の存在の検証と、預金保険制度改革が規律の程度に与える影響を分析した結果、1998-2000年にかけて、家計によっても預金者規律は存在していたが、2001年以降は規律の存在が確認されなかった。2001年以降、規律が弱まった要因としては主に、2000年に決定された預金等の完全保護延長・2002年に決定された普通預金等の完全保護延長や決済性預金の恒久的完全保護が考えられる。また、家計の様々な属性も規律の程度に影響を与えており、預金保険制度の内容を知っている、もしくは、預金保険制度を見聞きしたことがあること、リスク回避的であること、貯蓄をする上で取引金融機関の健全性を重視すること、貯蓄目標残高が高いことは、預金者規律を強め、取引金融機関を決める上で利便性を重視すること、世帯人数が多いことは、預金者規律を弱めるといった効果を持つことが示された。
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