2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J09449
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉田 恵子 大阪大学, 経済学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 自己啓発活動 / 職業教育 / 実証分析 / 教育投資 |
Research Abstract |
本研究は教育の投資としての役割に注目し、労働者による自己啓発活動の効果と、自己啓発活動の支援政策である教育訓練給付制度が自己啓発活動に与える影響を分析した。教育訓練給付制度が個人の自己啓発活動に与える影響はいくつか考えられる。給付制度によって自己啓発活動が割安になり、人々は以前より自己啓発を行うようになる可能性が考えられる。また、給付資格を持たない者は給付資格を得られるまで自己啓発を行うことを控えるかもしれない。さらに、給付制度で自己啓発の費用が賄われるために、給付資格を持つ者はより価格の高い自己啓発活動を行う可能性も考えられる。よって、本稿は給付制度が個人の自己啓発にかける費用に与える影響も分析している。人々が質の高いレジャーとして自己啓発を実施している可能性を検証するため、生活満足度を被説明変数とした分析を行い、自己啓発の実施が人々の生活満足度に影響を及ぼしているか否かを明らかにする。 分析手法は、教育訓練給付制度が人々の自己啓発活動に対して与えた影響を分析するためにプロビットモデルによる推定を行った。個人が自己啓発にかける費用を被説明変数とした分析をする場合、サンプルセレクションの問題が考えられるため、ヘックマン推定を行った。また、生活満足度の分析にはパネルデータを考慮した分析を行っている。 得られた結論は以下のとおりである。1)教育訓練給付制度が実施されたあとに、給付制度の受給資格がある者は自己啓発をする傾向が強まった。2)給付制度の実施後にカルチャースクール等の自己啓発費用が高まった。3)生活満足度が自己啓発から受ける影響は観察されない。
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