2005 Fiscal Year Annual Research Report
観察研究における因果関係解明法の頑健化と非線型因果構造発見問題への応用
Project/Area Number |
05J09452
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮村 理 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | グラフィカルモデリング / 頑健推定 / Ancestral Graph Model |
Research Abstract |
本年度は、グラフィカルモデル(GM)研究で近年注目されている、潜在変数を考慮したAncestral Graph(AG)で記述されるモデルについて、次の二点について成果を得た。 1.bi-partial covarianceとよばれる新しい指標を導入することにより、Gaussian AGモデルの完全な記述を可能とした。 2.Gaussian AGモデルの推定方法のひとつであるIterative Conditional Fitting(ICF)を外れ値に対して頑健化する手法を提案した。 GMは、多変数間の条件付独立性を頂点と辺からなるグラフによって表現するという特徴を持つ。しかし、一般に潜在変数が存在する場合、観測変数間の関係は交絡や条件付けといった影響を受けるため、グラフ表現とモデルの導く制約を対応させることが困難である。ひとつの解決としてAGモデルが提案されているが、これにも潜在変数による非独立な制約が生じ得ることが知られている。本研究では、bi-partial covarianceとよぶ共分散要素の多項式からなる指標を導入することで、正規性の仮定の下でAGモデルの表す制約を記述できることを示した。bi-partial covarianceは特別な場合に従来の偏共分散に一致することから、この指標のみによってGaussian AGモデルを完全に特徴づけることが可能である。一方、特に観察研究において収集されるデータには、しばしば外れ値が混入する。ICFアルゴリズムは最尤法に基づくため、こうした外れ値に敏感である。そこで、頑健化したIPFアルゴリズムを提案し、適切なGaussian AGモデルの構築を可能とした。以上の結果は、口頭発表および論文投稿によって公開した。特にAGモデルの部分クラスであるUndirected Graphモデルの頑健なモデリングに関する論文は、専門雑誌への掲載が決定している。
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Research Products
(1 results)