2006 Fiscal Year Annual Research Report
隕石中希ガス濃縮成分Qの物理的分離方法および希ガス同位体に関する研究
Project/Area Number |
05J09476
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西村 智佳子 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 隕石 / 希ガス同位体 / Q / 質量分析 |
Research Abstract |
1.隕石からの希ガス濃縮相の物理的分離法の適用とQ相の解明を目的として,その分離法をCM2マーチソンおよびCV3 NWA2086炭素質コンドライト隕石に適用した。ともに少量ではあるが疎水性物質が得られ,それらの希ガス含有量と同位体比を測定した。 得られだ疎水性物質はともに過去の研究で確認されているCV3アエンデ隕石とは異なる様相を示していたが,SEMやラマン分光観察からはQ成分の担体候補である炭素質物質の存在(炭素ピーク)は確認できた。しかし,アエンデに見られるような優位な希ガスの濃縮は見られなかった。同位体比に関しては,NWA2086は全岩に見られる始源的なHL成分が確認できたが,マーチソンにおいてはQもHL成分も確認できなかった。従って,Q相は隕石の種類により異なる様相を持ち,必ずしも疎水性のプレソーラー・ダイヤモンドに付随してくる物質ではない可能性が示唆される。 2.サン・トーバン鉄隕石の宇宙線照射年代決定と包有物中の始源的希ガス成分有無を調べるために,Fe-Ni合金とクロマイト包有物の希ガス測定を行った。 メタルは宇宙線照射により生成されるコスモジェニック成分に卓越していたが,一般的な鉄隕石に比べて一桁少なくサン・トーバンの母体メテオロイドは非常に大きかった可能性が示唆される。また算出した宇宙線照射年代は約11Maであり,これは鉄隕石の平均的な年代にくらべて一桁若いものであった。更に宇宙線照射の影響を受けている期間中に破砕されるなどの照射環境が変わるイベントがあったと考えられる。 クロマイトはメタルに比べると希ガス含有量は多いものの,各希ガス同位体比は地球大気の同位体組成に近いものであり,コンドライトに見られるようなQやHL成分は観測されなかった。宇宙線照射年代は15Ma程度でありメタルよりも早く形成されていたと思われる。
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