2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J09477
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石井 敦 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 位相幾何学 / 結び目理論 / 量子不変量 / LG多項式 |
Research Abstract |
数学における結び目とは円周の3次元空間への埋め込みのことです。これは日常に用いられる結び目を、その端点をつないでループにしたものと対応しています。一見、複雑に絡んでいるように見える結び目でも解けてしまう場合があり、自明性の判定には結び目不変量が用いられます。一般に、結び目不変量は任意に与えられた二つの結び目を判別するために用いられます。つまり不変量の研究を進めることで、結び目の複雑さを取り扱えるようになるのです。 ジョーンズ多項式の発見以後、リー環の表現を用いることにより、組織的な方法でたくさん不変量が構成されました。この組織的に構成された不変量は量子不変量と呼ばれています。本研究は量子不変量の一つであるLG多項式に焦点を当てた研究です。LG多項式はアレキサンダー多項式と呼ばれる古典的な不変量に比較的近い量子不変量です。そこでアレキサンダー多項式の持つ位相的性質との強いつながりをLG多項式に対しても見出し、不変量の研究に貢献を果たすのが本研究の目的です。 本年度に行った研究によって得られた成果は、ジョーンズ多項式以外の結び目不変量で初めて、アレキサンダー多項式にスムージング分解を用いた定式化を与えたことです。ジョーンズ多項式はスムージング分解によって得られるいくつかの円周の配置にある重みをつけた状態和として与えられます。私の与えたスムージングではスムージング後に整数の付随した円周が現れます。アレキサンダー多項式はこの整数を量子整数として組み込んだ状態和として与えられます。この研究の成果は組み合わせ的に定義されるLG多項式と位相的に定義されるアレキサンダー多項式の関係に対し、アレキサンダー多項式の側からの理解を与えるのに役立ちます。
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Research Products
(1 results)