2005 Fiscal Year Annual Research Report
波動方程式や弾性方程式など,波の伝播を表す方程式に対する逆問題
Project/Area Number |
05J09481
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
永安 聖 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 逆問題 / 非破壊検査 / 波動方程式 / 弾性方程式 |
Research Abstract |
反射法地震探査の問題を,空間について1次元化すると,棒状媒体に対する非破壊検査についての問題となる.そこで今年度は,多層からなる棒状(半直線状)媒体に対する非破壊検査を数学的に定式化した問題に取り組んだ.そしてその結果,この問題に対する肯定的結果,即ち,有限時間の観測データが与えられたときに,媒体内部の情報を得るための具体的な再構成手順を得た. 多層からなる媒体を伝わる波は,層の接合面毎に反射・透過が起こるので,具体的な再構成手順を得ようとするには,特に境界に最も近い層での解の具体的な表示が必要となる. 空間1次元の場合は局所的な波の伝播(層の接合面での波の反射や透過など)は難しくないが,層状媒体を伝わる波は,幾度も反射・透過を繰り返すため,順々に漸近解を構成していく方法は余りうまくいかない.故に,ある意味で漸近解を「一気に」構成することが要求される.これを行うための示唆を与えるのが,1970年代に盛んになされた双曲型方程式の境界値問題に対する研究である.実際,2層の場合の解表示については既に得られており,その中で用いられている手法が,今回の研究の際に有用であった.この手法により,層の数Nについての一般項として解を表示するための困難は,ロパティンスキー行列式と呼ばれる(2N-1)次正方行列の行列式の,Nについての一般項を求めることに帰着できる.そこで,このロパティンスキー行列式のNについての一般項を具体的に表示した.このことは,この研究の進展の一つの鍵である.
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Research Products
(2 results)