2005 Fiscal Year Annual Research Report
表面ナノ構造の磁性機能設計・制御に関する理論的研究
Project/Area Number |
05J09496
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岸 智弥 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | スピントロニクス / 磁性ナノアイランド / 金属表面 / 半導体表面 / カーボンナノチューブ / 磁性ナノワイヤー / 第一原理計算 |
Research Abstract |
次世代のエレクトロニクスとして注目されているスピントロニクスに向けて表面上のナノ構造の物性について研究を行った。本年度は、Cu(111)上およびAg(111)上の4d遷移金属薄膜、ナノワイヤーの磁性と電気伝導性について第一原理計算を援用して調べた。Cu(111)上では、Ru、Rh、Pd原子と基板原子の電子軌道混成によって磁気モーメントを持たないが、Ag(111)上においては基板原子との電子軌道混成が弱くなり、磁気モーメントを持つことを明らかにした。これらは、波動関数の局在性が強い3d遷移金属の場合とは大きく異なる結果である。電気伝導性については、FeとRuを比較した場合、磁気モーメントではFeの方が大きいが、コンダクタンスのスピン偏極率は薄膜表面近傍に局在した電子状態のエネルギーバンドがフェルミレベルを横切るRuの方が大きくなることを見出した。これらの結果から表面スピントロニクスデバイスのスピン偏極を操作するデザイン指針を得た。 また、新たなナノ構造として、Feナノアイランドの磁性について第一原理計算を援用して調べた。その結果、ナノアイランドはナノワイヤーの場合と同程度の磁気モーメントを持ち、この磁気モーメントはFe原子と表面Cu原子との電子軌道混成およびナノアイランドの構造緩和から生じるFe原子同士の結合変化によって増減することを、各原子軌道の電荷移動から明らかにした。また、ナノアイランド内の各原子のスピン配列について、様々な配列のエネルギーを比較することにより、ナノアイランド内の磁性状態は強磁性状態が基底状態であることを見出し、ナノアイランドが高密度磁気記録媒体に応用できる可能性があることを示した。
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Research Products
(4 results)