2005 Fiscal Year Annual Research Report
水素化物原料を用いた低転位窒化ガリウム単結晶の育成
Project/Area Number |
05J09503
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
今出 完 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 窒化ガリウム単結晶 / 水素化ガリウム / 窒化ガリウム基板 |
Research Abstract |
水素化ガリウムをIII族原料として用いる窒化ガリウム単結晶の成長法は、1.装置汚染の原因となる副生成物が生成しない、2.原理が簡単で低コスト化がはかれる、といった利点により大型窒化ガリウム単結晶の作製に向けた長時間育成が期待できる。窒化ガリウム単結晶の大型化のためには成長速度の増加が必須であるが、そのポイントは水素化ガリウム供給量の増加にある。水素化ガリウムは物性が未解明で市販されていないため、本成長法ではガリウム融液中に水素ガスを吹き込むことにより発生させる。今年度は、水素化ガリウム供給量を増加させるため、ガリウム融液/水素間の反応効率の向上を目指した。また、成長した結晶の光学評価、結晶学的評価を行ったので報告する。 ガリウム融液/水素間の反応効率に関しては、ガリウム融液深さを深くし、ガリウム融液中における水素バブルの滞在時間を増加させることにより反応効率の増加を目指した。その結果、ガリウム融液深さを1cmから4cmに増加させることにより、1.7um/hから20um/hの成長速度の増加を達成した。水素ガスは成長を抑制する効果があることが分かっているため、ガリウム融液/水素間の反応効率の向上は、原料である水素化ガリウム生成量の増加だけでなく、残留水素の低減にも寄与し、これら2つの効果により大幅な成長速度増加につながったと考える。 生成結晶のPL特性を測定した結果、バンド端発光強度が市販結晶に比べて約20倍に増加していることが明らかとなった。また、不純物発光に起因すると思われる430nmあたりの発光が抑制されており、この方法で成長した結晶は優れた光学特性を有することが分かった。対称面、非対称面のロッキングカーブ半値幅を測定した結果、市販結晶とほぼ同等か若干の改善が見られた。下地種基板として市販結晶を用いているため、結晶性に関しては下地基板の欠陥をそのまま引き継いでいるものと思われる。
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Research Products
(1 results)