2005 Fiscal Year Annual Research Report
材料強度評価のためのマルチスケールモデリングに関する研究
Project/Area Number |
05J09504
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
都留 智仁 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | マルチスケールモデル / 分子動力学法 / 三次元離散転位動力学法 / 臨界せん断応力 / 転位間相互作用 / 単結晶アルミニウム・銅 |
Research Abstract |
近年の微細化技術の発展により,シリコンデバイスやMEMSの基板や配線に用いられる金属材料では,その個々の大きさはナノスケールに達しており,今後さらに微細化が進み2010年には原子レベルに到達するといわれている.このような微小材料では,マクロな構造物では問題とならないような小さな欠陥が材料の破壊を引き起こす直接的な原因となりうるため,材料内部における転位などの欠陥構造の挙動を捉え,系全体に及ぼす影響を明らかにすることは,材料の生成や制御のみならず,今後さらに微細化が進むナノテクノロジー全般を支える上で非常に重要になると考えられる. 分子動力学法(MD)は原子レベルの解析に強力な手段であり,本研究では,MDを用いてインデンテーションにおける,転位の射出の臨界せん断応力の同定と近距離の転位間相互作用のメカニズムの解明を行った.しかしながら,MDの解析対象は計算機の性能に強く依存し,現在の最大規模でも一辺数百nmの系を扱える程度である.そこで,MDの結果を含み,転位の運動を陽に追跡することができる三次元離散転位動力学法(DD)の構築を行った.さらに,白由表面や押込みなどの境界値問題の解析を可能にするため,連続体の解析手法との連結を行った.ここで,連続体の手法として,境界積分方程式の解から直接転位の運動に必要な応力場の計算が可能な境界要素法(BEM)を採用し,MD-DD-BEMによるマルチスケールモデルを構築した. MDの結果に加えて転位論を導入することで,押込み下で分解せん断応力が臨界値に達すると,100〜200個もの転位ループが同時に射出することがわかり,実験で観察される変位バースト現象を解明することができた.
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Research Products
(2 results)