2005 Fiscal Year Annual Research Report
導電性高分子/フラーレンヘテロ接合の電子・光物性と高効率有機太陽電池に関する研究
Project/Area Number |
05J09510
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
梅田 時由 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 誘電性高分子 / フラーレン / 有機薄膜太陽電池 / 相互浸透 / バルクヘテロ / ポリ(3-ヘキシルチオフェン) |
Research Abstract |
本研究では高効率の有機薄膜太陽電池における光電流発生機構を解明するとともに、さらなる変換効率の上昇を推し進めた。本年度の研究で得られた知見と業績をまとめると次のようになる。 導電性高分子を用いた太陽電池では、有機材料およびその組み合わせや膜厚、製膜状態、有機層/金属電極界面の電子状態、電荷取出層材料、電極材料などの最適な素子構造は未だ明らかになっておらず、更なる変換効率の改善のためにはそれらの解明が必要不可欠であった。変換効率の改善のためには、光励起により導電性高分子に生成された励起子の解離効率を上昇させるためにドナー(導電性高分子)とアクセプタ(C_<60>)の間の接触面積を広くすること、及び励起子解離により生成されたキャリアの輸送効率を上昇させるためにドナー分子間の正孔移動及びアクセプタ分子間の電子移動を効率良く行うためにそれぞれのキャリア輸送経路を電極まで連続的につなげることが必要であり、これら両者がバランス良く改善されることが必要であることを示した。これに従って、導電性高分子層とC_<60>層の間に相互浸透構造を設けることでドナー・アクセプタ間の接触面積を大幅に増大した浸透界面積層構造を提案・作成し、この素子はこれまで用いられていた単純な積層構造に比べて大幅な太陽電池特性の向上を示した。更に波長800nm程度までの長波長領域に大きい光撃収係数を持つ低分子色素の導入を提案し、長波長領域の外部量子効率の増大が得られ、さらなる太陽電池特性の改善を得た。また、もう一つのアプローチとして、適切な溶媒を用いることで導電性高分子へのC_<60>ドーピング量をこれまでよりも大幅に増加させた導寧性高分子:C_<60>バルクヘテロ型の太陽電池を提案し、作製した。この太陽電池特性が混合比率やアニーリング温度に大きく依存することを見出すとともに、太陽電池特性で2%以上のエネルギー変換効率を得た。
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Research Products
(4 results)