2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J09519
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
辻 博史 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | シリコン / ボロン / 拡散 / ドーズロス現象 |
Research Abstract |
近年のMOS素子の微細化に伴うイオン注入の低エネルギー化によって、これまでのプロセス条件では見られなかった様々な異常拡散現象が新たに観測されている。しかし、従来のプロセスシミュレータには、これらの現象を再現する適切なモデルが組み込まれておらず、また、そのメカニズムはほとんど解明されていない。このような背景から、本研究では、プロセスシミュレータの精度を向上させることを目的とし、シリコン結晶中に低エネルギーイオン注入したボロンの拡散実験を行い、詳細な解析を行った。 本年度はシリコン/酸化膜界面におけるボロンのドーズロス現象の特性について詳しく調べた。ボロンを極低エネルギー注入した試料を用いた実験から、熱処理初期の表面方向へのボロンのアップヒル拡散と多量のドーズロスとが密接に関連していることを初めて確認した。また、ドーズロス量の時間変化は注入ドーズ量に大きく依存し、低、中、高ドーズの3通りのバターンに分類できることを見出した。低ドーズでは、熱処理初期のドーズロスに加えて、その後もドーズロス量は増加するが、ある時間から減少に転じる。中ドーズでは、熱処理初期に多量のドーズロスを生じるが、その後は単調に減少し続ける。高ドーズでは、熱処理初期のドーズロス量は少ないが、長時間にわたってドーズロスが続く。さらに、シリコンと酸化膜の間にインターフェース層を仮定した3層モデルを用いた解析により、シリコン/酸化膜界面からのボロン放出速度を抽出した。
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