2005 Fiscal Year Annual Research Report
円型断面放電室をもつホールスラスタの推進性能と電離・加速過程
Project/Area Number |
05J09549
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
白崎 篤司 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 円形断面放電室 / ホールスラスタ / プラズマ診断 |
Research Abstract |
本研究の目的は小型・低電力かつ高性能のホールスラスタを開発することである。SPT(Stationary Plasma Thruster)と呼ばれるスラスタを小型・低電力化する試みは各所で行われてきたが200W以下の電力レベルでは推進効率が極端に低下することが明らかになっている。そこでSPTと異なるタイプの円形断面放電室をもつホールスラスタを試作し、作動実験を行った。 円形断面放電室をもつホールスラスタの磁場分布による推進性能の変化を調べた。その結果、下流領域において中心軸から半径方向に離れるに従って半径方向磁束密度が単調に増加するような磁場分布を形成することが陽極へ流れ込む電子電流の抑制に有効であり推進効率の向上につながることがわかった。次に陽極の位置を変化させることによって円環状断面部の長さを変えて推進性能の変化を調べた。その結果、円環状断面部の長さを0mmとした場合、すなわち円環状断面部をもたない場合により高い推進効率が得られることがわかった。 円形断面放電室をもつホールスラスタにおける電離・加速領域を把握するためダブルプローブを用いて放電室内の電子温度、電子数密度分布、プラズマ電位の測定を行った。その結果、陽極近傍において大きな電子温度及びプラズマ電位勾配が観測され、この領域で推進剤の電離とイオンの加速が行われていることが推察された。またこの領域には大きな半径方向磁束密度が存在していることから、電離・加速領域は半径方向磁束密度のピークが存在している箇所に形成されると予想された。 プラズマ診断から電離・加速領域は半径方向磁束密度のピークが存在している箇所に形成されると予想されたため、リング状磁石を用いて下流側に半径方向磁場のピークを形成することによって電離・加速領域を下流側に形成し、壁面へのイオン損失の低減を試みた。その結果、半径方向磁場のピーク位置によって推進性能が変化し、推進性能の面で最適なピーク位置があることが明らかになった。リング状磁石を用いたホールスラスタは35-130Wの電力域で18-39%の推進効率が得られ、他の研究機関のホールスラスタと比べて高い推進効率が得られた。
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Research Products
(4 results)