2006 Fiscal Year Annual Research Report
円型断面放電室をもつホールスラスタの推進性能と電離・加速過程
Project/Area Number |
05J09549
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
白崎 篤司 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ホールスラスタ / 円形断面放電室 |
Research Abstract |
本研究の目的は小型・低電力かつ高性能のホールスラスタを開発することである。従来のSPTと呼ばれるスラスタの200W以下の電力レベルでの推進効率は5-30%と低い。これはスラスタの小型化に伴い放電室における壁面損失が増大するためである。そこで本研究では、壁面損失を抑えるために円形断面放電室をもつホールスラスタの製作および実験を行った。このタイプのスラスタに対して推進効率を向上させるための設計指針は全く明らかになっていない。まず2種類の放電童形状に対して作動実験を行った。放電室が円形断面部のみで構成されている場合と円形断面部に円環状断面部が付加されている場合について、推進効率を比較した結果、円形断面部のみで構成されている場合により高い推進効率が得られることが分かった。ホールスラスタは磁場と電場によって電子を捕捉し、推進剤を電離・加速させるという特性上、性能向上のためには電離・加速領域の把握は必要不可欠である。そこで静電ダブルプローブによって放電室内部のプラズマ計測を行った。その結果、半径方向磁場が強い箇所で電子温度が高いことが明らかになり、ここで推進剤の電離・加速が行われていると推察された。これにより半径方向磁場のピークを放電重出口側に形成することにより、壁面損失をさらに抑制でき、推進効率を向上できることが予想された。そこで半径方向磁場のピーク位置を変化させ性能を比較した。その結果、ピーク位置によって推進効率が変化し、最適なピーク位置が存在することが明らかになった。最適化された円形断面放電室をもつホールスラスタは35-130Wの低電力域で18-39%の高い推進効率を達成した。スラスタ作動における放電電流の振動は電源の負担となるため抑制する必要がある。そこで放電電流振動を実験と理論解析によって調べた。推進剤流量の低下および放電電圧の増加と共に放電電流振動の強度は増大した。この放電電流振動は電離領域における中性粒子の供給速度とイオンの噴出速度の差、そして中性粒子密度の勾配によって引き起こされることが推察された。
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Research Products
(3 results)