2005 Fiscal Year Annual Research Report
3次元強相関電子系(Mnペロブスカイト等)の3次元バルク/表面電子状態の完全解明
Project/Area Number |
05J09557
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤原 秀紀 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | マンガンペロブスカイト / 角度分解光電子分光 / フェルミ液体 |
Research Abstract |
これまで、我々は3次元ペロブスカイトNd_<1-x>Sr_xMnO_3に対して高分解能Mn 2p-3d共鳴光電子スペクトルの詳細かつ系統的な温度変化を測定してきた。その結果、x=0.55における面間コヒーレンスの無視できる二次元的な反強磁性金属相において、低温のフェルミ準位近傍でスペクトル強度が消失することを明らかになった。この実験事実は低温の二次元的な電子状態において準粒子が不安定になることを示喚している。しかしながら、この振る舞いは同じく二次元的な電子状態と考えられている層状物質、La_<1.2>Sr_<1.8>Mn_2O_7に対する低励起エネルギーを用いた角度分解光電子分光の結果と振る舞いが異なる。 そこで、我々は層状物質La_<1.2>Sr_<1.8>Mn_2O_7の電子状態が有限の3次元性をもつ可能性に着目し、励起エネルギーを変化させて高エネルギー角度分解測定を行った。測定はSPring-8 BL25SUにおいて試料を超高真空中で破断することで清浄表面を得て、エネルギー分解能約100-200meVで行った。得られた角度分解光電子スペクトルは明瞭な励起エネルギー依存性を示すことが明らかになった。これは層状物質であるLa_<1.2>Sr_<1.8>Mn_2O_7において伝導面間方向に有限の3次元性をもつことを示す直接的な証拠であるといえる。これらの結果は層状物質であるLa_<1.2>Sr_<1.8>Mn_2O_7に有限の3次元的な輸送コヒーレンスが存在する直接的な証拠であるとともに、銅酸化物を始めとする層状物質においてもバンド構造の3次元性が無視できないことを示唆するものである。本研究により電子状態の有限の3次元性が準粒子を安定化させることが明らかになり、一方で面間コヒーレンスの無い二次元電子状態において準粒子は本質的に不安定であることが明らかになった。
|
Research Products
(2 results)