2006 Fiscal Year Annual Research Report
3次元強相関電子系(Mnペロブスカイト等)の3次元バルク/表面電子状態の完全解明
Project/Area Number |
05J09557
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤原 秀紀 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | マンガンペロブスカイト / 角度分解光電子分光 / フェルミ液体 |
Research Abstract |
これまで、我々は層状物質La_<1.2>Sr_<1.8>Mn_2O_7の電子状態が有限の3次元性をもつ可能性に着目し、励起エネルギーを変化させて高エネルギー軟X線角度分解測定を行ってきた。得られた角度分解光電子スペクトルは明瞭な励起エネルギー依存性を示すことが明らかになった。これは層状物質であるLa_<1.2>Sr_<1.8>Mn_2O_7において伝導面間方向に有限の3次元性をもつことを示す直接的な証拠である。これらの結果は層状物質であるLa_<1.2>Sr_<1.8>Mn_2O_7に有限の3次元的な輸送コヒーレンスが存在する直接的な証拠であるとともに、銅酸化物を始めとする層状物質においてもバンド構造の3次元性が無視できないことを示唆している。本研究により強相関層状物質においても固体表面とバルクの電子状態が異なることが明らかになってきた。さらに、近年La_<1.2>Sr_<1.8>Mn_2O_7の表面層は金属相中においても絶縁体的であることが報告されている。層状物質La_<1.2>Sr_<1.8>Mn_2O_7の真のバルク電子状態を明らかにするためには、さらに高いエネルギーの入射光を用いる硬X線光電子分光が有力である。 我々はSPring-8 BL19LXUにおいて8keVの入射光のエネルギーを利用した硬X線光電子分光を行った。清浄表面は試料を超高真空中で破断することでを得て、測定のエネルギー分解能は約100-200meVであった。Mn 2p内殻スペクトルにおいて伝導電子によるスクリーニングに起因する肩構造を確認し、金属絶縁体転移に対応するスペクトル形状の変化を観測した。さらに価電子帯スペクトルのフェルミ準位近傍の温度変化から本質的なバルク電子状態の金属絶縁体転移を観測した。
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Research Products
(1 results)