2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J09579
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮崎 淳 大阪大学, 生命機能系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 化学振動 / 結合振動子 / 位相モデル / Belouosv-Zhabotinsky反応 |
Research Abstract |
本年度は連結された化学振動系の協同的振舞いを明らかにするため、位相モデルと呼ばれる手法に基づき研究を行った。この方法は振動子の振動・結合メカニズムに立ち入らずに系を統一的に取り扱うことができる利点があり、化学振動媒質のような物質輸送により連結された系を明らかにするためにも非常に有効な手段である。実際の系においてこのモデルを適用するには、振動要素間の相互作用を記述する結合関数を決定することが不可欠であり、本研究ではまずこの結合関数を二つの振動子を用いて測定する方法を理論的に導出した。さらに実際の系においてこの方法を適用するため、送液により連結された二つのBelousov-Zhabotinsky(BZ)反応槽を製作し、実験的に結合関数を測定することに成功した。その結果、結合振動子系の協同的振振舞いを正確に記述することが可能となった。たとえば、二つの連結された振動子系においてみられる同位相・反位相の同期状態を、測定された結合関数を用いて定性的・定量的に説明されることが示された。また、従来、結合関数として多くの場合、正弦関数が仮定されていたが、BZ皮応系を対象に測定された結合関数は正弦関数とは大きくずれていることが明らかになった。この化学振動系を足がかりとして開発された手法は系の詳細によらず、心筋細胞や神経細胞など他の振動組織に対しても展開していくことが可能である。今後、より多数の振動子が集まった系における本手法の適用性、有用性を検討していく予定である。
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