2005 Fiscal Year Annual Research Report
トンネルスピン注入によるカーボンナノチューブ・スピントロニクスデバイス
Project/Area Number |
05J09583
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
上村 崇史 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | カーボンナノチューブ / スピントロニクス / トンネル注入 / 1次元伝導 / コンタクト障壁 |
Research Abstract |
スピントロニクス素子において、キャリアの注入過程は、偏極スピンの散乱を抑制するという観点から非常に重要な意味を持つ。つまり、電極-単層カーボンナノチューブ(SWNT)間のコンタクト障壁について理解することが、カーボンナノチューブのスピントロニクス素子への応用に関して必要である。そこで、先ず、SWNT-FETへのキャリア注入機構の解明、並びに、コンタクト障壁の形成要因の解明を行った。 SWNT-FETは価電子帯側へ高いコンタクト障壁を持つ。これは、SWNT-FET上に吸着した酸素分子の帯電が原因だとする報告がある。吸着酸素分子を脱離するために、SWNT-FETへ過電流を流し、SWNT-FETを局所的に加熱する技術である通電加熱プロセス(Electrical Heating Process:EHP)を開発した。EHPをSWNT-FETへ適用し、SWNTと電極金属の仕事関数に依存したambipolar特性を得る事に成功した。つまり、EHPをSWNT-FETへ適用し、電極-SWNT接合においてSWNTと電極金属の仕事関数に依存したショットキー接合を得、キャリアがショットキー接合をトンネルして注入されることを示した。さらに、電極の表面酸化膜からのトンネル注入がSWNT-FETの特性に大きく影響を与えることも示した。 EHPをSWNT-FETへ適用し、SWNT-ショットキーバリアトランジスタ(SWNT-SBT)を作製した。SWNT-SBTをゲートバイアスで変調する時、バンド構造とSBがSWNTのサブバンドに依存して段階的に変調する事を見出した。これを利用し、SWNTのバンド構造を電気伝導特性で観察した。 EHPを開発し、価電子帯側への高い接合障壁の原因解明と排除に成功した。また、EHPを用いてSWNT-SBTを作製し、SWNTのバンド構造を観察する手法を提案し、実現した。
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Research Products
(2 results)