2006 Fiscal Year Annual Research Report
電磁泳動力を利用する新規な細胞表面分析法と細胞分離法の発明
Project/Area Number |
05J09600
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
飯国 良規 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 電磁泳動 / 単一相互作用力 / 解離速度定数 / 細胞 / 糖鎖 / レクチン |
Research Abstract |
本研究では磁場と電流を駆動力とする電磁泳動力に注目し、強い電磁泳動力を得るために超伝導磁石(10T)を用いた電磁泳動力を利用する微粒子の吸着力測定法を開発した岩本法の発展として細胞表面の分子認識、凝集等の主要因子のひとつである精-タンパク質(レクチン)相互作用の本法による測定を行った。本法はキャピラリー壁に吸着した微粒子を、電流を次第に増加させたときの電磁泳動力により脱着させ、その脱着電流から脱着に要した力(吸着力)を測定する方法である。試料としては細胞表面にマンノース(Man)含有糖鎖を持つ酵母細胞とMan結合レクチンであるConA、GNL、HHLおよびNPLを用いた。これらのレクチンを内寸100μmx100μmのシリカキャピラリー内壁に固定し、このレクチン修飾表面に対する酵母細胞の吸着力を0-60pNの範囲で測定した。ConA、GNL、HHLおよびNPL修飾表面に対する吸着力を測定した結果、酵母細胞表面Man糖鎖とConA、GNL、HHLおよびNPLとの単一相互作用力はそれぞれ41pN、10pN、8pNおよび11pNと得られた。さらに、酵母細胞に対して一定の電磁泳動力を印加時の時間に対する酵母細胞の脱着数を測定し、これをBellモデルによりフィッティングし、Man-レクチン相互作用の解離速度定数を求めた。得られたConA、GNL、HHLおよびNPLの解離速度定数はそれぞれ4.5×10^<-3>s^<-1>、2.7×10^<-2>s^<-1>、3.5×10^<-2>s^<-1>および2.2×10^<-3>s^<-1>であった。これらの解離速度定数は相互作用力が大きいほど小さくなる傾向が得られた。以上のように本法により細胞表面での分子間の相互作用力が測定され、pNオーダーの相互作用力の違いにより分子認識が可能であることから、細胞表面分析法としての可能性が示された。
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Research Products
(1 results)