2005 Fiscal Year Annual Research Report
スピン軌道相互作用を求めるプログラムの新規開発と単分子磁性体への適用
Project/Area Number |
05J09608
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
武田 亮 大阪大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | non-collinear磁性 / Dzyaloshinskii-守谷(DM)モデル / スピン軌道相互作用(SOC) / 第一原理量子化学計算 / 配置間相互作用法(CI) / 密度汎関数法(DFT) / Davidson対角化 / Cauchy-Schwarzの不等式 |
Research Abstract |
Non-collinear磁性を示すモデル分子系の性質を、高精度計算である配置間相互作用法(CI)により解析を行った。非相対論的Full CI(最高精度の計算)を行えばnon-collinearスピン状態は縮退し、当然ながら混合によりcollinearスピン状態の縮退と等価となった。しかし、スピン軌道相互作用(SOC)を入れて計算を行うと、系によっては縮退が解け、non-collinearスピン状態が発現した。発現するかどうかは古典スピンモデルによる磁気異方性相互作用を表すDzyaloshinskii-守谷(DM)モデルにより予想される通りであった。例えば、D_3対称の分子ではDMモデルにより2つのnon-collinear磁性体のどちらかが安定になると予想されるが、実際にFull CIにおいて一方の状態が安定となった。また、どちらが安定になるかも求める事ができた。 CIで必要となる巨大行列の対角化を行うため、Davidson逐次対角化法の実装を行った。この手法により、以前では計算できなかったサイズのnon-collinear磁性体のCI計算が行えるようになった。 CIだけでなく、Hartree-Fock法(HF)と密度汎関数法(DFT)により、一般D_3対称分子のDMモデルのパラメータベクトルDの算出を行った。この計算式は、別の対称性を持った系においても適用が可能な形となっている。DをHFは過小評価、DFTは過大評価する傾向があったが、CIと向きは一致し、オーダーもほぼ一致した。SOCを入れて収束させた場合と入れずに収束させた場合とで、Dの値はほとんど変化しなかった。この結果は、SOCの影響は摂動的に取り入れたので十分であることを示している。 二電子反発積分の高速化を行った。これにより、例えば30分程度かかっていたnon-collineaf HF計算が20分程度に短縮された。
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Research Products
(4 results)