2006 Fiscal Year Annual Research Report
スピン軌道相互作用を求めるプログラムの新規開発と単分子磁性体への適用
Project/Area Number |
05J09608
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
武田 亮 大阪大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 単一次元鎖磁石 / 零磁場分裂定数 / スピン軌道相互作用(SOC) / 第一原理量子化学計算 / 密度汎関数法(DFT) / スピン最適化共鳴Hartree-Fock配置間相互作用(SO Res-HF CI)法 / スピンフラストレーション系 / Res-DFT CI法 |
Research Abstract |
単一次元鎖磁石[MnTBrPP]^+[TCNE]^-[MnTBrPP]^+のモデル計算を行い、架橋配位子[TCNE]^-が[MnTBrPP]^+の磁気異方性に与える影響を調べた。単一次元鎖磁石は、単分子磁石よりサイズは大きくなるもののこより高温まで磁石としての性質をもつナノ材料である。[MnTBrPP]^+を[MnP]^+に簡略化し、[MnP]^+,[MnP]^+[TCNE]^-[MnP]^+,[TCNE]^-[MnP]^+[TCNE]^-の三種類のクラスターにおいて磁気異方性を計算した。その結果、[TCNE]^-が配位しても[MnP]^+の磁気異方性にはほとんど影響がないことが分かった。 共鳴Hartree-Fock(Res-HF)法という手法を元にして、密度汎関数法ではなく、波動関数ベースの手法で磁性を研究するための手法論を開発した。Res-HF法は巨大系に適用するには計算量が多いため、計算量を削減したRes-HF配置間相互作用(CI)法を開発した。さらに、この手法から可能な限り任意性を排除するため、スピン射影を元にしたスピン最適化(SO)Res-HF CI法を開発した。これにより、強くスピン分極した系において、従来そのような系に適用されてきた手法であるUHF自然軌道を用いた完全活性空間CI(UNO-CASCI)法より計算量を少なくする事に成功した。 SO Res-HF CI法をスピンフラストレーション系にも適用した。Non-collinearスピン状態から出発した場合、計算量はほとんど削減できなかったが、UNO-CASCIよりも良い結果を与えた。 Res-HF CI法とDFT法を融合した、Res-DFT CI法を開発した。水素分子において、スピン射影に近い結果を与えた。
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Research Products
(3 results)