2005 Fiscal Year Annual Research Report
スキホスタチンの不斉全合成研究ならびに誘導合成による構造活性相関研究
Project/Area Number |
05J09631
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
澤間 善成 大阪大学, 大学院・薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | スキホスタチン / 中性スフィンゴミエリナーゼ阻害剤 / 天然物合成 / 官能基選択的アセタールの脱保護法 / ピリジニウム型塩 |
Research Abstract |
スキホスタチンは、中性スフィンゴミエリナーゼ(N-SMase)阻害活性を有する天然物であり、N-SMase阻害剤は、アルツハイマーやAIDS等の新しい作用機序を持つ治療薬とし注目されている。スキホスタチンは、既存のN-SMase活性を持つ化合物の中で最も高い活性を持つが、その不安定性が問題となっている。そこで、私は、光学活性C_2対称ヒドロベンゾイン由来のジエンアセタール類に対する分子内ハロエーテル化反応や官能基選択的アセタールの脱保護法等を鍵反応とし、安定で高活性な様々な誘導体合成を可能にする合成ルートを確立し、スキホスタチンの不斉全合成を達成した。更に、この合成ルートの改良を行い、収率の向上、合成ルートの短縮(総17工程)を行い、より効率的な不斉全合成を達成した。本手法は、唯一の全合成例である加藤らの方法(総24工程)に比べ、短工程で様々な誘導体を合成可能とする。今後、本手法を用いた構造活性相関研究を行なっていく。 また、この全合成の鍵反応として開発したTESOTf-baseを用いた塩基性条件下官能基選択的アセタールの新規脱保護法の更なる拡張を行った。まず、NMRやESI-MS等により、本反応が不安定なピリジニウム型塩中間体を経由することを明らかにした。更に、この中間体はカチオン性を帯びていることに注目し、様々な求核種導入を行った。また、本反応は水酸基の保護基として用いられるTHF,THP環等のアセタール構造を有する化合物に対しても応用可能であり、THF,THPエーテルの新規脱保護、求核種導入法として確立した。これら全ての反応は塩基性条件で進行し、従来法の酸条件では適応困難な、酸に不安定な官能基を有する化合物にも適応可能な有用な手法である。
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Research Products
(2 results)