2005 Fiscal Year Annual Research Report
界面の熱力学・物性に着目した溶鉄中トランプエレメントの革新的精錬法
Project/Area Number |
05J09634
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田口 謙治 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | トンランプエレメント / 蒸発除去 / 鉄スクラップ / リサイクル / 2液相分離 |
Research Abstract |
鉄スクラップのリサイクル過程に混入するCuやSnなどのトランプエレメント処理方法の一つとして、溶鉄中CuおよびSnの蒸発除去が有効である。しかしながら、133Paの実用真空度以下では、CuおよびSnの蒸発除去は気相側の物質移動の影響を受けやすい。本研究では、溶媒-溶質原子間に働く化学親和力に着目し、1923K,133Paの減圧下において、溶媒金属のFeと親和力が強いAl,B,C,Siを添加した場合の溶鉄中Cu,Snの蒸発速度を測定した。B,C,Siを添加することによって、溶鉄中Cuの蒸発速度は増大した。一方、Snは、Al,B,C,Siの添加により、蒸発が促進した。本実験結果からCuおよびSnの活量係数に及ぼす合金元素の影響を表す熱力学データ(相互作用母係数)を算出し、脱Cu速度を増大させる元素はSi,C,Bの順に、また脱Sn速度に関しては、Al,B,C,Siの順に効果が大きくなることを明らかにした。さらに、Cu,Snの蒸発速度を促進するFe-Si-C,Fe-Al-CおよびFe-B-C 3元系合金の最適組成を明らかにし、Fe-Cu (or Sn)系の熱力学データベースを構築した。一方、1523KにおけるFe-Cu-B系の相平衡について調べ、Feを多く含む相とCuを多く含む相の2液相分離が生じることを新たに見い出した。Fe・Cu混合スクラップからのFeとCuの分離回収を想定した場合、B添加による本2液相分離を利用し、Fe-20mass%Cu合金からFeおよびCuをそれぞれ99,80%以上回収できることを示した。回収されるCuは通常の銅鉱石に比べ高品位銅資源としてそのまま利用できる。一方、回収したFeに含有する数mass%程度のCuは、本研究のような脱Cu処理が必要となる。これらを考慮に入れたFe-Cu系スクラップの理想的なリサイクル法を提示した。
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Research Products
(4 results)