2006 Fiscal Year Annual Research Report
水溶性遷移金属錯体を用いた水中でのpH連続制御による触媒反応の開発
Project/Area Number |
05J09635
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
上原 啓嗣 大阪大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 水中 / pH / 金属触媒 / アミノ酸 / ケト酸 / ワンポット合成 / 光触媒 |
Research Abstract |
様々な触媒反応を同じ系で段階的に行い、収率良く目的生成物を合成することは、合成の簡略化、環境負荷の軽減などの点から非常に重要なことである。本研究では、特定のpHで機能する金属錯体を用い、それぞれの触媒反応をpHで連続的制御することで、多段階の触媒反応をワンポットで行い、収率良く目的生成物を得ることを考えた。医薬および有機合成の鍵物質であるケト酸・アミノ酸化合物をその目的生成物とした。 本年度はアルキンカルボン酸からケト酸およびアミノ酸化合物へのワンポット合成について研究を行った。その結果、水中触媒を用い、反応溶液のpHを制御することで触媒的にケト酸およびアミノ酸化合物を合成することに成功した(J.Am.Chem.Soc.投稿準備中)。以下にその概要を示した アルキンカルボン酸類の位置選択的水和反応(α-、β-ケト酸化合物の位置選択的合成)について検討した。ルテニウム触媒を用いたアセチレンカルボン酸(アルキンカルボン酸)の水和反応を行うと、ピルビン酸(α-ケト酸)が高収率で合成できる。同様に、ロジウムまたはイリジウム錯体を用い、テトロール酸エチルエステル(アルキンカルボン酸エステル)の水和反応を行うとアセト酢酸エチル(β-ケトエステル)が合成できる。本研究では、触媒反応の中間体を単離することに成功し、その構造を明らかにした。 ケト酸合成を行った後、反応系中にギ酸アンモニウムを添加することで還元的アミノ化反応が進行し、生成物としてアミノ酸化合物を与えることが分かった。 以上、本研究では、高付加価値型化合物であるケト酸およびアミノ酸化合物を水中で触媒的に合成することに初めて成功した。このような環境調和型の物質変換プロセス(触媒反応)は、将来的に様々な工業的技術に応用が可能であり、新技術の創成という意味でもその価値は非常に大きい。
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Research Products
(1 results)