2005 Fiscal Year Annual Research Report
1-ナフチルメチルアミン塩の形成する有機層構造を用いた分子計算機
Project/Area Number |
05J09642
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
井上 勝成 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 結晶工学 / 超分子化学 / 有機固溶体 / 自己組織化 / 有機塩 / 単結晶X線構造解析 / 層間化合物 / 有機固体材料 |
Research Abstract |
本研究の目的は、有機分子の自己組織化を利用して、分子を用いた演算システムを構築することである。本研究における系では、1-ナフチルメチルアミン塩の形成する硬い構造モチーフをテンプレートとして用いることによって、広範囲の有機分子に対して多成分有機固溶体の形成が可能である。この固溶体の分子パッキングからアウトプット情報を得ることにより分子を用いた演算が行えると考えた。 初年度の目的としては、有機固溶体の分子パッキング様式を決定することと、コンビナトリアル的手法を用いることによって、固溶体の形成範囲を明らかにすることである。 本年度の成果を以下に列挙する。 1.1-ナフチルメチルアミンと様々な長さの異なる脂肪酸を用いて、固溶体の形成範囲を系統的にスクリーニングした。本研究は有機固溶体の形成に有機塩を用いている。それにより、煩雑な有機合成を伴わず、ハイスループットなスクリーニングを行うことができた。この手法に従い大量の有機塩を作成した。 2.作成した有機塩を様々な有機溶媒を用い、結晶化を行った。得られた結晶を、赤外吸収分光法、熱重量分析法、粉末X線回折法、単結晶X線回折法などにより調べた。これらの測定の結果より、有機固溶体の構造を決定できた。この構造は、相補的な分子対を層間にランダムに配列させた構造であることを見出した。 3.系統的な調査の結果、有機固溶体の形成範囲を明らかにした。この結果、脂肪酸の長さの違いが固溶体形成に大きく影響していることを見出した。 4.混合する脂肪酸の比率を変化させることによって、置換型合金のように連続固溶体を形成することを明らかにした。
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Research Products
(1 results)