2005 Fiscal Year Annual Research Report
導波路レーザー発振を目指した強発光希土類錯体の創製
Project/Area Number |
05J09665
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中村 一希 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 希土類錯体 / 増幅自然放出光 / ユーロピウムイオン / 発光材料 |
Research Abstract |
本研究では、希土類錯体を発振材料としたマイクロサイズのポリマー導波路レーザーの開発を目指している。これまでに本研究においてEu(III)錯体による増幅自然放出光(ASE)発振の直接観測に成功し、誘導放出断面積の観点からASE発振特性を錯体構造制御によって向上させた。 しかしながら、30%程度と低いASFの割合を向上させることが課題であった。本年度研究ではこの課題に対し、より優れたASE発振特性を有するEu(III)錯体を創製することを目的とした。分子設計の指針として、効率的な反転分布状態を形成させるために、発光量子収率の向上、吸収断面積の増加、の二点に関して検討を行った。 (発光量子収率の向上に関して) β-ジケトン配位子を有する複数のEu(III)錯体を用い、β-ジケトンのα水素を重水素化した。光物性測定によって、α水素を重水素化することで錯体の発光量子収率が増加することを確認した。これらのEu(III)錯体添加ポリマー薄膜を用いてASE発振特性を検討した結果、重水素化によって発光量子収率を高めることによって、未重水素化の錯体よりも高いASE発振特性を示すことが明らかとなった。 (吸収断面積の増加に関して) 異なる置換基を有するβ-ジケトン配位子を用いて、発光特性はほぼ等しく、吸収特性が異なるEu(III)錯体を合成した。これらのEu(III)錯体のASE発振特性の検討を行った結果、励起光である355nmにおける吸収断面積の大きなEu(III)錯体ほどASE発振特性が高いことが分かった。各錯体の発光特性はほぼ等しいことから、吸収断面積の増加により高い励起率を得ることで、効率的な反転分布の形成が成され、ASE割合が向上したものと考えられる。 今年度研究によって課題であったASEの割合が60%以上にまで高まり、目的である導波路レーザー開発へ向けた新たな分子設計指針が得られた。
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Research Products
(2 results)