2006 Fiscal Year Annual Research Report
導波路レーザー発振を目指した強発光希土類錯体の創製
Project/Area Number |
05J09665
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中村 一希 大阪大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 希土類 / ユーロピウム / 導波路レーザー / 光化学 |
Research Abstract |
本年度における本研究は、薄膜、導波路レーザーへの応用を目指した強発光性ユーロピウム錯体に関する研究を行った。レーザー発振媒体としてEu(III)錯体には大きな誘導放出断面積、高い発光量子収率、また大きな吸収断面積が求められた。しかしながら、希土類錯体を用いたレーザー発振に関する先行研究においては、レーザー発振系の開発に関するものがほとんどであった。そこで本年度は、Eu(III)錯体の分子設計によって与えられる光物性とASE発振特性との相関について検討を行った。錯体構造の制御による化学的な観点から分子設計を行い、レーザー発振に適した強発光Eu^<3+>錯体の合成をし、その後、Eu^<3+>錯体添加ポリマー薄膜の作成、ASE発振特性の検討を行った。 一の指針として、大きな誘導放出断面積を有するEu(III)錯体を用いてASE発振特性の検討を行った。その結果、大きな誘導放出断面積を有するEu(III)錯体は従来のEu(III)錯体に比べ高いASE発振特性を示すことが分かった。希土類錯体の光物性とASE発振特性を実験的に関連付けることに初めて成功した。 第二の指針として、Eu(III)錯体の発光量子収率とASE発振特性との相関について検討した。錯体の配位構造や発光速度定数を変化させること無く、無輻射失活速度のみを抑え、Eu(III)錯体の発光量子収率を向上させた。その結果、発光量子収率の増加に伴ってASE発振特性が向上することが分かった。 第三の指針として、Eu(III)錯体の吸収断面積とASE発振特性との相関について検討した。発光過程を大きく変化させること無く、励起波長における吸収断面積の異なるEu(III)錯体を設計した。ASE発振特性の検討の結果、吸収断面積の大きなEu(III)錆体は光励起によって効率的な反転分布状態を形成し、その結果、誘導放出特性が飛躍的に向上した。
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Research Products
(3 results)