2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J09677
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
竹家 啓 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ガスハイドレート / 電子スピン共鳴 / ラジカル |
Research Abstract |
ガスハイドレートは内部に大量のガスを内包する結晶で、その構造は水分子がガスを包接することで構成される。とりわけメタンを内包するメタンハイドレートは世界各地で発見が報告されており、日本近海にも存在することが知られている。また、その埋蔵量が膨大なことから将来のエネルギー源として期待されている。 メタンハイドレートには自己保存性と呼ばれる現象があり、これは安定領域から遠くはなれた条件にあるガスハイドレートの分解が極端に抑制される現象である。しかし自己保存性については、それを支配する正体ならびに機構がほとんど解明されていないのが現状である。 本課題では、以上の観点から人工的に合成されたメタンハイドレートに対してガンマ線照射を行うことにより、内部に観測可能な欠陥を作り、その欠陥周辺の結晶構造および構造崩壊のメカニズムを電子スピン共鳴(ESR)によって研究することを目的としている。 本年度は、メタンハイドレート内に誘起されたメチルラジカルについてさらに詳細な研究を行った結果、不安定領域における結晶の挙動についてさらなる知見が得られた。ハイドレート内のメチルラジカルは不安定鎖域において一旦減衰するものの、再びガンマ線照射を行うことにより同濃度のラジカルを誘起できた。これは減衰反応とガスの解放が独立して進行していることを示しており、不安定領域においてメタンハイドレートは包接されているガス分子の拡散を伴わずにラジカル同士が相互作用できる状態にあることが示された。 また比較のために、メタンハイドレートと同じ構造I型を持つエタンハイドレートに対してもガンマ線照射を行い誘起されるラジカル種の熱安定性を測定した結果、メタンハイドレート同様にラジカルと結晶の安定性の間に相関性が見られた。このことからガスハイドレートの物性研究手段として放射線照射、ESR法による観測が可能であることが示唆され、またハイドレート分解時に過冷却水が関与することが示された。
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Research Products
(4 results)