2006 Fiscal Year Annual Research Report
金属電析反応と電気化学振動とのカップリングによるナノ秩序構造形成法の開拓
Project/Area Number |
05J09682
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
深見 一弘 京都大学, エネルギー理工学研究所, 助手
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Keywords | 電気化学 / 電析 / 自己組織化 / 樹枝状結晶 |
Research Abstract |
金属の電析反応に於いてみられる、電気化学振動とそれに同期した樹枝状結晶の振動成長の機構を明らかにした。また、上記の振動現象を誘起する表面不安定化現象が半導体の溶解現象に適応できることを見出した。 1.電気化学振動とそれに同期した樹枝状結晶の振動成長による高規則化構造の自己組織化形成 拡散律速条件下、電流規制条件で金属の電析反応を行うと自発的な電位振動が観測されることを昨年度明らかにしてきた。本年度は位相差顕微鏡を使用し、結晶の振動成長に同期した成長先端濃度の振動現象の観測に成功した。また、走査型電子顕微鏡と電子線後方散乱パターンから結晶の振動成長の方位を同定した。更に、数値シミュレーションを行い、提案したモデルにより、電位振動と結晶の振動成長が生じることを明らかにした。 また、ナノスケールでの結晶の振動成長は光学顕微鏡では観測することが困難であったことから、結晶表面上での表面増強ラマン散乱効果の利用を試みた。プローブ分子であるビピリジンの吸収強度が電位振動に同期して振動することを見出した。この時に振動成長した金樹枝状結晶の構造はex-situで走査型電子顕微鏡により観察した。その結果、ナノスケールでの結晶の振動成長を初めて見出した。 2.樹枝状結晶成長をもたらす表面不安定性の半導体溶解への適応 電気化学反応の拡散律速条件は、金属電析反応のみならず、溶解反応においても過電圧を大きく設定するだけで容易に達成される。拡散律速条件下では溶解した表面の形状が特異な形状になることが予想される。n-TiO_2の光エッチング反応に於いてみられる周期的なナノグルーブの形成機構を拡散律速条件下における表面不安定性を用いて数値解析したところ、このTiO_2の光エッチングにおいてみられる特異な周期構造が表面不安定性により引き起こされていることを明らかにした。
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Research Products
(4 results)