2005 Fiscal Year Annual Research Report
環境調和型one-pot反応系の構築を目指した新規不均一系触媒の開発
Project/Area Number |
05J09687
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
本倉 健 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | one-pot反応 / 不均一系触媒 / ハイドロタルサイト / モンモリロナイト / α-アルキル化反応 / 固体酸触媒 / 固体塩基触媒 / パラジウム |
Research Abstract |
本申請研究では、研究計画調書でも述べたように、環境調和型one-pot反応系を可能とする層状粘土鉱物の特性を生かした新規不均一系触媒の開発を目的としている。one-pot合成は従来の多段階を要する合成法と比べ、中間体の単離の手間を省き、試剤、反応時間、エネルギー等を最小にすることができるため、効率的な化学プロセスの開発に極めて有効な手法である。しかしながら、複数の反応を同時に進行させるにはクリアしなければならない様々な問題があり、特に用いる試剤同士の反応による失活は大きな難点である。 平成17年度の研究では酸と塩基のように互いに反応し失活する活性点を天然鉱物の特性を生かして固体内部に固定、中和反応を防ぎ、酸・塩基反応が同一反応器内で連続的に進行する反応系の開発を行った。具体的には、固体酸触媒Ti交換モンモリロナイト(Ti^<4+>-mont)の3-20Åの層間に存在するH^+酸点と、平均粒径40μmのハイドロタルサイト(HT)粒子表面の塩基点との接触はないと考え、固体酸Ti^<4+>-montと固体塩基HTをone-potで用いる酸塩基連続反応系の開発を試みたところ、種々の酸塩基反応がone-potで進行することがわかった(J.Am.Chem.Soc.2005,127,9674)。 また、当研究室ではこれまでに、Ru表面固定化HT(Ru/HT触媒を用いるニトリル化合物のα-アルキル化反応を報告しているが、Ru/HTを用いる反応系では配位性の強い、高活性なニトリル化合物のアルキル化反応を進行させることができなかった。そこで、Pdナノ粒子をHT表面に固定化したPdnano/HT触媒を新たに開発し、Pd種と塩基点を活性種とする連続反応を進行させて高活性なニトリル化合物のアルキル体の合成に成功した(Tetrahedron Lett.2005,46,5507)。
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