2005 Fiscal Year Annual Research Report
希少金属の選択的回収を目的とする環境調和型高度分離材料の開発
Project/Area Number |
05J09697
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西村 剛 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 金属イオン / 高度分離 / 認識 / 発光 |
Research Abstract |
本研究では、特定の金属イオンを選択的に分離・認識することのできる新規材料の設計開発を行っている。平成17年度は、ポリアミンを基盤とする新規材料の開発を行った。 i)2つのアントラセンを環状ポリアミンの対極に配置した新規分子を開発した。この分子は、金属イオンに対する包摂選択性の他に、金属イオンを識別して発光特性を変化させる特性を有する。Zn^<2+>が存在する場合、アントラセンに由来するモノマーおよびエキシマー発光の2種類の発光が確認される。一方、Cd^<2+>が存在する場合、エキシマー発光は見られず、モノマー発光のみが確認される。この分子は、環内に2つの金属イオンを包摂可能である。Zn^<2+>→Cd^<2+>の順に金属イオンを配位させるとモノマー/エキシマーのいずれの発光も確認されるが、Cd^<2+>→Zn^<2+>の順に配位させるとモノマー発光のみが確認され、金属イオンを包摂する順番により発光挙動を変化させることが可能である。すなわち本材料は、金属イオンの分離のみならず、特定の金属イオンの定性および定量が可能な新規キレート分子になりうることを明らかにした。 ii)アントラセンおよびベンゾフェノンを鎖状ポリアミンの両端に結合させた新規分子を開発した。本分子は、金属イオンに対する包摂選択性に加えて、金属イオンへの配位にともなうポリアミンの構造変化によりアントラセンおよびベンゾフェノン間の距離が変化し、発光特性を変化させることが可能である。Zn^<2+>やCd^<2+>などの金属イオンが存在する場合には、アントラセンの発光は全く変化しないが、Cu^<2+>が存在する場合にのみアントラセンの発光は全く見られなくなる。すなわち本分子は、Cu^<2+>の定量機能をもつ新規分離材料として機能することを見出した。また本分子は、pHの増加にともなう緩やかな蛍光強度の減少を示す(pH2-11)ため、これまでにない幅広いpH検出が可能な化学センサーとなることを明らかにした。
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