2005 Fiscal Year Annual Research Report
動的ストークスシフトを利用したDNA高次構造の水和過程に関する研究
Project/Area Number |
05J09700
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木村 巧 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | DNA局所構造 / DNAの構造転移 / ソルバトクロミズム分子 / 水和環境 / 蛍光プローブ / DNA / RNA二本鎖 / 遺伝子治療薬開発 / ストークスシフト |
Research Abstract |
位置特異的に蛍光プローブを導入した種々のDNA構造(典型構造および局所構造)の設計と合成を行ない、そして蛍光測定からDNAの構造転移を観測した。本研究で用いた蛍光プローブ6-Dimethylamino-2-acyl-naphthalene (dan)はソルバトクロミズム分子であり、溶媒極性によって蛍光特性が大きく変化することが知られている。そこで、dan誘導体を6-methoxy-2-naphthalic acidからの4段階反応により合成し、デオキシシチジンまたはデオキシグアノシン誘導体上のアミノ基とカップリングさせることにより、dan修飾DNAヌクレオシドを得た。これまでの報告では、シトシンまたはグアニンのアミノ基への修飾は、プローブ分子をDNA二本鎖の主溝、副溝のそれぞれに安定に位置させることができると知られていることに由来する。DNA合成機より得たdan修飾DNAオリゴマーにおいて、主溝にdanを導入した場合に比べ、副溝で蛍光スペクトルがブルーシフトした。これはDNAの溝の幅は、主溝より副溝で狭いため、より疎水的になっていることに由来すると考えられる。また相補鎖にRNAを用いることにより、A型DNA/RNA二本鎖においても検討した。その結果前者のB型DNA二本鎖とは逆の減少が見られ、主溝でブルーシフトが見られた。これはA型構造をとることにより、溝幅の変化が起こりB型とは逆の環境になったためと考えられる。さらに3価カチオンであるヘキサミンコバルトを用いることにより、DNAのB-A構造転移を観測した。その結果、主溝へdanを導入したDNAオリゴマーにおいて、劇的なブルーシフトが観測され、B-A構造転移に伴うDNAの水和環境変化をリアルタイムに検出することに成功した。同様に左巻きZ型DNAの水和環境を検討した結果、主溝側ではほぼバルク水中と同様の環境であり、逆に副溝側では十分な疎水環境を持っていることを明らかにした。
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Research Products
(1 results)