2005 Fiscal Year Annual Research Report
DNA修複において重要な役割をもつ、ミスマッチ修複系酵素群の構造機能解析
Project/Area Number |
05J09716
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
福井 健二 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | DNA組換え / DNA修復 / ホリデイ構造 / ヌクレアーゼ |
Research Abstract |
DNA修復系酵素MutSファミリーのひとつ、MutS2に着目し、その分子機能解析をおこなった。まず、限定分解により、MutS2のN末端領域とC末端は、それぞれ安定なドメインを形成していることがわかった。C末端のドメインと相同性を持つ配列はSmrと呼ばれ、ウィルスからヒトまで広く保存されていることから、このドメインの重要性が予想されているが、その機能については全く知られていなかった。次に、各ドメインについての機能解析を行った。MutS2のN末端側ドメインはATPase活性、DNA結合能を有していた。一方、C末端側のSmrドメインはDNA結合能に加えて、末端の無いDNAを切断する活性を有した。これはSmrがDNA切断活性を持つことを示した最初の報告である。このような活性は、DNA組換えや修復に必須の活性であり、本酵素のDNA組換えや修復への関与が予想される。また、Smrは他のヌクレアーゼとは全く配列相同性を持たないことから、この配列は新規のヌクレアーゼモチーフを含むと考えられる。続いて、N末端側ドメインが組換え中間体であるホリデイ構造に特異的に結合することを明らかにした。N末端側ドメインと相同性を示す領域は、MutS1にも存在するが、MutS1はホリデイ構造に対して特異性は示さないことから、相同性の高いDNA結合ドメインでもわずかな違いにより特殊な構造を認識するようになるといえる。また、驚いたことにSmrドメイン単独でもホリデイ構造を認識することが分かった。さらに、MutS2およびSmrはホリデイ構造を特異的に切断することを発見した。これらの結果は、MutS2がDNA組換えに働くこと、また、生物界にひろく存在するSmrがホリデイ構造の解離酵素として働くことが示された。
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