2006 Fiscal Year Annual Research Report
DNA修複において重要な役割をもつ、ミスマッチ修複系酵素群の構造機能解析
Project/Area Number |
05J09716
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
福井 健二 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | DNA組換え / DNA修復 / ヌクレアーゼ / ゲノム安定性 |
Research Abstract |
DNA修復系酵素MutSファミリーのうち、MutS2に着目し、その分子機能解析をおこなった。高度好熱菌mutS2の遺伝子破壊株を作製し、表現型を野生株と比較したところ、mutS2欠損株では、高い相同組換え効率を示すこと、マイトマイシンCに対する耐性が上昇していることが分かった。また、生化学的な解析から、MutS2は、相同組換えの一般的な中間体であるD-loop構造を認識し、切断する活性を持つ事が示唆された。さらに、D-loop構造を切断するヌクレアーゼ活性がMutS2のC末端に存在するSmrドメインに由来することを部位特異的変異導入法により明らかにした。このドメインはバクテリアからヒトまで高度に保存された機能未知のドメインであったが、本研究により新奇のヌクレアーゼドメインであることが示された。そこで、このドメインのヌクレアーゼ活性を詳細に調べるために、フーリエ変換型質量分析計を用いた解析法を確立した。この解析により、Smrドメインのヌクレアーゼ活性は、配列特異性を持たない事、ホスホジエステル結合をリン酸基の5'側で加水分解する事などが分かった。これは、フーリエ変換型質量分析計によりヌクレアーゼ活性を解析した初めての例である。以上の結果から、MutS2は相同組換え申間体を認識し、解離させることにより相同組換えを抑制すると考えられる。相同組換えは、外来DNAの取り込みなどを伸介する反応であり、これを制御することによりゲノムの安定性の維持に関与しているといえる。
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Research Products
(2 results)