2006 Fiscal Year Annual Research Report
心不全の病態における小胞体ストレス誘導性心筋細胞アポトーシスの重要性
Project/Area Number |
05J09743
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
塚本 蔵 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 小胞体ストレス / CHOP / 心不全 / ユビキチン・プロテアソーム系 / 心筋細胞アポトーシス |
Research Abstract |
我々はマウスの大動脈縮窄術による圧負荷心不全モデルにて、小胞体特異的アポトーシスシグナルであるCHOPの発現の増加を報告している。そこで、心不全の病態進展におけるCHOPの役割についてCHOPノックアウトマウス(CHOP-/-)を用いて検討した。マウスに圧負荷を加えたところ、小胞体ストレスセンサーであるPERK、ATF6、およびIRE1の3つ全てが活性化したが、興味深いことに圧負荷後4週の心不全期において、小胞体ストレス誘導性アポトーシスシグナルであるJNK、caspase12、CHOPのうちCHOPのみが活性化していた。更に、CHOP-/-マウスはshamと比し、圧負荷後4週での心筋細胞アポトーシスの減少と心機能の改善を認めたことから、心不全の病態進展にCHOPを介する心筋細胞アポトーシスが重要な役割を果たしていると考えられた。現在、他の心不全モデル(心筋梗塞後リモデリング)においてもCHOPの役割を検討中である。尚、ヒト不全心においても小胞体ストレスが誘導され、CHOPの発現量と心不全の重症度との間に正の相関関係があることを確認している。一方、小胞体ストレスに対する適応現象として、ユビキチン・プロテアソーム系(U/P系)細胞内蛋白質分解機構が活性化する。そこで心不全進展におけるU/P系の役割を検討したところ、圧負荷による心機能低下が出現する以前より、左心室プロテアソーム活性低下、心筋細胞内へのユビキチン化蛋白質蓄積が認められ、その後、経時的に増悪し、心筋細胞アポトーシスの誘導と心機能低下が認められた。更に、ヒト不全心においても心筋細胞内にユビキチン化蛋白質の蓄積が認められた。以上より、圧負荷後の左心室プロテアソーム活性低下に伴う小胞体ストレスの増強や変性蛋白質の蓄積を介し、心筋細胞機能障害およびアポトーシスを誘導する可能性が考えられた。
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Research Products
(5 results)