2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト人工染色体の細胞への導入方法の確立およびその応用に関する生物工学的研究
Project/Area Number |
05J09774
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
東 恒仁 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | アルギン酸カルシウム / 人工染色体 / モノクローナル抗体 |
Research Abstract |
細胞からの染色体単離を容易にするために、生細胞で染色体の可視化を試みた。代表的な染色体タンパク質であるヒストンH1をPCRによりクローニングし、哺乳類培養細胞におけるGFP融合ヒストンH1発現ベクターを構築した。構築したベクターを、確立したアルギン酸カルシウムマイクロビーズを用いる手法によりHeLa細胞に導入した。抗生物質による選抜と限界希釈法によるクローニングを実施することでGFP融合ヒストンH1を安定的に発現する細胞株の構築に成功した。細胞から染色体を単離する手法として、レーザーマニピュレーションを用いることを考え、Z軸方向の分解能に優れた二光子共焦点レーザー顕微鏡を利用することとした。光源としてTi:sapphireレーザーを用いることで、生きた哺乳類培養細胞内において単一の染色体やミトコンドリアにレーザー光を集光し、操作する技術を確立した。 また、アルギン酸カルシウムマイクロビーズに包摂するモデルタンパク質としては熱安定性が高く、大量生産および精製が容易であることが必要である。これらの条件を満たすタンパク質として、モノクローナル抗体を選択した。モノクローナル抗体は抗原特異性が高く、医薬品としての注目が高まっているが、ヒト-マウス間でのホモロジーの高いタンパク質に対する抗体作製は一般に困難であった。このため、まず生物種間でのホモロジーが高い染色体タンパク質に対するモノクローナル抗体の作製方法について検討した結果、抗原作製の際に酢酸法を用いてタンパク質を可溶化すると効率的な抗体作製が可能であることが判明した。作製したモノクローナル抗体をもちいてアルギン酸カルシウムマイクロビーズを作製したところ、蛍光顕微鏡観察により抗体のビーズへの包摂が観察された。これらの得られた成果を日本細胞生物学会、日本生物工学会、日本分子生物学会などで発表した。
|