2005 Fiscal Year Annual Research Report
マウス胚ノードのNodalシグナルが左右非対称に側板中胚葉へ伝わる機構の解明
Project/Area Number |
05J09793
|
Research Institution | Osaka University |
Research Fellow |
沖 真弥 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | マウス胚 / 左右軸形成 / Nodal / ヘパラン硫酸 / 拡散による遺伝子発現誘導 / ノード |
Research Abstract |
今回私はノードからのNodalシグナルは、いかにして側板中胚葉に伝えられるかを以下の点に着目して検証した。 (1)ノードのNodalシグナルは、なぜ左側にのみ伝えられるか? ノードのNodal蛋白質は左右非対称に修飾(プロセシングや糖鎖修飾など)されているかを検証するために、ノードでFLAGペプチドタグを融合させたNodalを発現するトランスジェニックマウス胚を回収し、ノードを左右に切り分けてWestern blot法にて比較した。しかしノードの左右で違いは見られなかったので、左側にのみ伝えられる仕組みは、ノードのNodalの左右非対称な発現によるものと考えられる。 (2)ノードのNodalは、どのように側板中胚葉に拡散するか? 拡散性の分子の一部は、ヘパラン硫酸鎖を伝って拡散することが報告されているので、Nodalもこの機構に従うのではないかと考えた。まずNodalは、ヘパラン硫酸によく似たヘパリンに結合することを示した。またヘパラン硫酸の局在を免疫染色にて調べたところ、ノードと側板中胚葉の間の基底膜に局在を認めた。これらのことからノードのNodalは、ヘパラン硫酸鎖を伝って側板中胚葉に拡散すると仮説を立てた。培地にヘパリンを添加して胚培養すると、側板中胚葉におけるNodal発現が阻害されたことより、上記の仮説は強く支持された。 (3)ノードのNodalの拡散を可視化する実験 ノードでMycペプチドタグを融合させたNodalを発現するトランスジェニックマウス胚を回収し、抗c-Myc抗体で免疫染色したが、拡散するNodalを可視化できていない。現在、技術的な改善を行っている。またどのように分泌されるかを調べるために、免疫電顕法による局在証明を準備している。現在までに、透過型電顕観察に必要な試料調製法で免疫染色が可能になり、これから電顕観察を行っていく予定である。
|
Research Products
(1 results)