2006 Fiscal Year Annual Research Report
マウス胚ノードのNodalシグナルが左右非対称に側板中胚葉へ伝わる機構の解明
Project/Area Number |
05J09793
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Research Institution | Osaka University |
Research Fellow |
沖 真弥 大阪大学, 大学院生命機能研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | マウス胚 / 左右軸形成 / Nodal / グリコサミノグリカン / 拡散による遺伝子発現誘導 / ノード |
Research Abstract |
前年に引き続き、私はノードから側板中胚葉へのNodalシグナル伝達には硫酸化グリコサミノグリカンが必要であることを明らかにした。 前年までは、Nodalはヘパリンに結合することを示したが、今回私はNodalはコンドロイチン硫酸に結合するが、ヘパラン硫酸には結合しないことを明らかにした。さらにコンドロイチン硫酸とヘパラン硫酸は共にノードと側板中胚葉の間の基底膜に局在し、ちょうど両者をつなぐような分布をしていることを明らかにした。そこノードで作られたNodalがコンドロイチン硫酸やヘパラン硫酸を伝って、側板中胚葉まで運ばれるのではないかと思い、以下の実験により検証した。 まず塩素酸ナトリウムによりコンドロイチン硫酸とヘパラン硫酸の両者の合成を阻害すると、ノードのNodalは発現するが、側板中胚葉のNodal発現が抑制されることを示した。さらにxylosideでコンドロイチン硫酸のみの合成を阻害した場合も同様に側板中胚葉のNodal発現が抑制されることを示した。これらの実験では側板中胚葉がNodalを発現できないような状態になっているにすぎないとも考えられるので、両阻害実験において右側の側板中胚葉にNodalの発現ベクターを導入したところ、Nodalは右側に発現しており、側板中胚葉はNodalを発現できる状態にあることを確認した。 これらの結果より、ノードで作られたNodalはコンドロイチン硫酸を伝って、側板中胚葉まで運ばれること、さらにその過程にはヘパラン硫酸だけでは不十分であることか示唆された。
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