2005 Fiscal Year Annual Research Report
反応拡散システムによるマウス胚初期パターン形成の解析
Project/Area Number |
05J09794
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中村 哲也 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | マウス / 左右決定 / 反応拡散 / Nodal / Lefty / シミュレーション |
Research Abstract |
今回私達は左右決定において次のような新しい仮説を考え検証した。(1)ノードからは両側の側板中胚葉にシグナルが伝達される。(2)左側で先に発現が始まったNodal,Leftyが右側でのNodal発現を抑制する。この仮説を検証するためにマウス胚を用いた異所発現実験を行った。まずマウス胚右側でNodalを強制発現させると、左側での内在でのNodal発現が抑制されていた。これは右側で発現したLeftyが左側まで拡散してNodal発現を抑制していることが判明した。さらに、左側でのNodal発現をGFP-lefty2発現ベクターを用いて抑制すると右側でNodalを発現する胚が得られた。さらに、コンピューターシミュレーションを用いて解析した結果、確かに仮説を証明する結果が得られた。さらにNodalとLeftyの拡散速度を比較した結果、左右決定はやはり拡散速度の違うactivator(Nodal)とinhibitor(Lefty)を用いた反応拡散系で行われていると結論づけることができた。 その後左右決定を詳細に行う目的でシミュレーションを用いて解析を進めていくにつれ、マウス胚において左右が決定される時には、Nodalのpositive loopの回転速度が早い事が重要である事がわかった。これにより、マウス胚では安定に左側を決定しているものと考えられる。さらに、RT-PCRを行った結果、右側でも弱くNodalが発現しておりこの右側での発現の量、タイミングもシミュレーションで予想した通りであった。
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Research Products
(1 results)