2006 Fiscal Year Annual Research Report
神経回路形成における入力線維の標的細胞への分化誘導機構
Project/Area Number |
05J09799
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
竹本 誠 大阪大学, 生命機能研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 大脳皮質 / 視床軸索 / Unc5h4 / 分化誘導 |
Research Abstract |
我々は、視床軸索が標的である皮質細胞との相互作用を通じて皮質細胞の分化や回路形成に果たす役割を明らかにすることを目的として研究を実施してきた。これまでに、大脳皮質第4層特異的遺伝子Unc5h4が視床軸索の投射を受ける一次感覚野に強く発現することを示した。また、入力線維欠損マウスあるいは培養下において視床入力を遮断した大脳皮質において、Unc5h4発現細胞の存在様式が変化することを明らかにした。本年度は、Unc5h4のリガンドとなり得る候補分子に着目し、以下の事項を明らかにした。 (1)Netrin遺伝子の脳における発現分布 生後6日目マウス脳より凍結薄切片を作製し、in situハイブリダイゼーション法を用いてNetrin-1、Netrin-3、Netrin-4の遺伝子発現を解析した。その結果、大脳皮質において全ての遺伝子の発現が見られたが、特にNetrin-4はUncShdの発現パターンに類似しているだけでなく、視床においても強く発現することが明らかになった。このことから、視床由来のNetrin-4がUnc5h4を発現する大脳皮質細胞に影響を及ぼすか、あるいは大脳皮質において発現するNetrinがUnc5h4発現細胞の分化に関与することが示唆された。 (2)Netrin-1およびNetrin-4の皮質4層細胞に及ぼす効果 Unc5h4を発現していると想定される皮質4層細胞をラベルするために、in uteroエレクロトポレーション法を用いて、胎生13日目のマウス終脳の脳室帯に蛍光タンパク質発現用プラスミドを導入し、さらにラペルされたニューロンを分散培養下で観察して、Netrin-1タンパク質に対する影響を解析した。その結果、Netrin-1存在下で培養したニューロンは、非存在下に比べて生存が維持されやすいことが明らかになった。また、同様の方法を用いて皮質4層細胞にNetrin-4を過剰発現させたところ、対照実験に比べて神経突起の発達が促進されることを明らかにした。特に、樹状突起様の神経突起の分枝が増えることから、視床入力を含む外的要因によってもたらされるNetrin-4が、皮質4層細胞の樹状突起の発達に寄与する可能性が考えられる。Unc5h4とNetrin-4との相互作用による皮質4層細胞の分化誘導の解明が期待される。
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Research Products
(1 results)