2005 Fiscal Year Annual Research Report
増殖因子を介した低分子量G蛋白質Rac1の活性化イメージングとシミュレーション
Project/Area Number |
05J09806
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
伊藤 玲奈 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 低分子量G蛋白質 / Rac1 / FRET / イメージング / 増殖因子 / GEF |
Research Abstract |
細胞骨格や細胞形態を制御するRhoファミリー低分子量G蛋白質Rac1は、増殖因子刺激時に活性化因子GEFによって、その活性を制御されている。上皮細胞増殖因子受容体EGFRからRac1の活性化を担うと予想される、活性化因子6種(Sos1,Sos2,Tiam1,etc)に対するRNAiを作製した。RNAiを用いて標的蛋白質をノックダウンさせ、EGF刺激依存性のRac1活性の時空間変化を、FRETモニターRaichu-Rac1でイメージングした。5種の活性化因子は、血清飢餓時のRac1活性化状態を低下させるものもあったが、EGF依存性の活性化を抑制しなかった。一方、EGF刺激依存性のRac1の活性を抑制する表現形を示すものが見つかった。この表現形は、EGF刺激依存性に起こるRac1の細胞全体での一過性の活性を抑制したが、葉状仮足やラフリングの形態変化は抑制できなかった。表現形に変化を示したRNAiの標的活性化因子は、EGFRとの関連性はこれまで示唆されておらず、非常に興味深い結果であった。さらに、この活性化因子に焦点を当て、EGF刺激依存性の活性制御を調べた。すると、この活性化因子は、EGF刺激依存性にリン酸化され、蛋白質の立体構造が変化することで活性化型になることが予想された。活性化因子のN末端を、同様のドメイン構造を保持した蛋白質と置換すると、EGF刺激依存性のリン酸化が入らなくなったことから、N末端にリン酸化制御を受ける部位が存在することが明らかとなった。また、このリン酸化には、EGF刺激で活性化される非受容体型チロシンキナーゼを介しており、活性化因子の主要なリン酸化部位も同定できた。
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Research Products
(2 results)