2006 Fiscal Year Annual Research Report
バイオインフォマティクスによる蛋白質分子認知機序の解析と予測
Project/Area Number |
05J09815
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
土屋 裕子 東京大学, 医科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 蛋白質 / バイオインフォマティクス / 蛋白質立体構造 |
Research Abstract |
前年度までに開発を行った蛋白質-蛋白質相互作用面の相補性解析手法を基に、蛋白質複合体の結晶構造を解析する上で問題となる「生物学的に意味のある複合体(生物学的相互作用面)と結晶中においてのみ観察される複合体(結晶学的接触)の区別」を自動的に行う方法の構築を行った。その結果、約90%の高精度で両相互作用面を正しく評価(分離)する手法の構築に成功し、従来よく行われていた最大接触面積を評価基準とする手法では判別できなかった例に対しても、正しく生物学的相互作用面を判別することが可能となった。 さらにこの判別法を利用し、蛋白質結晶構造における生物学的相互作用面の予測を行うウェブサービスを構築した。 次に、蛋白質-蛋白質ドッキングにおいて問題となる、生物学的に意味のある複合体(真複合体構造)と人工的に発生させた複合体(偽複合体構造)の区別、すなわち、生物学的に意味があると考えられる複合体の抽出を行う方法の開発を目指した。 真構造と偽構造を区別する評価関数を作成するために、実験的に立体構造が決定された重複のない126蛋白質複合体(異なる2蛋白質間で形成されているヘテロ蛋白質複合体)からなる真複合体構造データセットと、各々の真複合体に対して最大100(平均約94)個の偽複合体を人工的に発生させた偽複合体構造データセット.(約12000偽複合体)を用意した。そして、両セットに対して、分子表面上の疎水性度・静電ポテンシャル・形状の相補性の解析を行い、この結果を基に、真構造と偽構造を最も精度よく分離できるような評価関数を決定した。この関数を用いて判別を行ったところ、真構造データセットに含まれる76%の実験構造を「最も生物学的に意味がある複合体である」と判定することができた。この評価関数を用いて、予測複合体構造の中から真構造を選び出す仕組みの構築を行っている。
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Research Products
(2 results)